日本連邦共和国憲法草案(第2章)

第2章 国会

第44条【国会の地位】
 主権者である共和国のすべての民は、国会を、そのもっとも重要な代表者と定める。

第45条【国会の権力および義務】
1 国会は、法律・租税・予算を議決する、国の唯一の立法機関とする。またその他、法律に定める権力を与える。
2 国会には、憲法の規定を実施するために必要かつ適切な、いっさいの法律を定める義務、および役所を監視する義務を課す。

第46条【立法権の留保】
 憲法に定める場合について、国民投票による立法権を、共和国民に留保する。

第47条【二院制
1 国会は、民議院および連邦院の両議院で構成する。
2 両議院の議員の定数は、法律に定めること。

第48条【議員および選挙人の資格】
 両議院の議員およびその選挙人の資格は、法律に定めること。ただし、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産または収入による差別を禁じる。

第49条【民議院議員の選挙および任期】
1 民議院は、国民を代表する、選挙された議員で組織する。
2 民議院議員の選挙は比例代表制により、議席は各政党にその得票数に比例して配分する。各政党は候補者をあらかじめ公開し、どうじに投票者には、投票する政党の特定の候補者に対する選択を表明する選択肢を与えること。各政党は、より多く選択された順に当選者を確定すること。
3 選挙に参加し、かつ第12条の規定にしたがう有権者の団体は、すべて政党とみなすこと。
4 民議院の議席は、各選挙区にその人口に比例して配分すること。ただし、ひとつの選挙区が道・州の境界をこえてはならない。
5 民議院議員の任期は4年とする。ただし民議院が解散した場合は、任期満了前に終了すること。

第50条【連邦院議員の選挙および任期】
1 連邦院は、各道・州を代表する、選挙された議員で組織する。
2 連邦院議員は各道・州から住民の直接選挙により選出し、議席はすべての道・州に同数ずつ配分すること。
3 連邦院議員の任期は6年とし、3年ごとにその半数を改選すること。

第51条【選挙に関する事項】
 選挙区、投票の方法その他、両議院議員の選挙に関するくわしい規定は、法律に定めること。

第52条【国会総会】
1 国会総会は、憲法に定める場合、あるいは国会各議院の決議にもとづいて招集する、両議院の議員全員からなる合同会議である。
2 国会総会を開いている期間、両院は一体とみなす。
3 国会総会の議長には、民議院議長を任命すること。

第53条【国会議員の兼職禁止】
1 だれも、同時に両議院の議員であってはならない。
2 国会議員はその任期中、国務相をのぞく監査委員、裁判官、オンブズマンその他の国および自治体の弘務員、あるいは弁護士を兼職してはならない。

第54条【議員の報酬】
 両議院の議員には、法律にしたがい、税収から、その活動および生活に適当な額の報酬を与える。そのくわしい基準は法律に定める。

第55条【議員の不逮捕特権
 両議院の議員を、法律に定める場合を除き、国会の会議中、または会議への移動中に逮捕してはならない。またそれ以前に逮捕された議員は、所属する議院の要求があれば、会議中は釈放しなければならない。

第56条【議員の独立・発言の無責任】
1 両議院の議員は国民を代表して討論および表決を行なうこと。また、そのさい自己の良心にのみしたがい、選挙人の指示や委任に拘束されないこと。
2 両議院の議員に、議院で行なった演説、討論または表決について、院外で責任を問うことを禁ずる。ただし、個人を誹謗し中傷ことのみを目的とした場合は例外とする。

第57条【議員の宣誓義務】
 すべての国会議員は、就任のさい、所属する議院の公開の会議で、法律に定める基準にしたがい、主権者に対して、身の潔白を証し、憲法への忠誠と、職務の誠実な遂行を宣誓すること。

第58条【常会】
 国会の常会は最低、毎年1回の召集を定めること。

第59条【臨時会】
1 内閣は、国会の臨時会の召集を決定してよい。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定すること。
2 国民発案があれば、その議決のため、ただちに臨時会を招集すること。

第60条【民議院の解散、特別会、参議院の緊急集会】
1 民議院が解散されたときは、解散の日から30日以内に、民議院議員の総選挙を行ない、その選挙の日から30日以内に、国会を召集すること。
2 民議院が解散されたときは、連邦院は、どうじに閉会すること。ただし、内閣は、共和国の緊急の必要をみとめるときは、連邦院の緊急集会を求めてよい。
3 前項の緊急集会がとる措置は、臨時のものであり、つぎの国会開会ののち10日以内に、民議院の同意を得ないかぎり、効力をうしなう。

第61条【議員の資格争訟】
 両議院に、それぞれの議員の資格を審査し、またそれに関する争訟を裁判する権限をみとめる。ただし、議員の資格を奪うには、出席議員の3分の2以上の多数により議決すること。

第62条【定足数・多数決】
1 両議院および国会総会はそれぞれ、その総議員の3分の1以上の出席がないかぎり、議事を開き議決してはならない。
2 両議院および国会総会の議事は、この憲法に定める場合をのぞき出席議員の過半数で議決し、賛成・反対同数のときは、議長が決定すること。

第63条【会議の公開、秘密会】
1 両議院および国会総会の会議は、公開すること。ただし、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会としてよい。
2 両議院および国会総会は、それぞれの会議の記録を自由かつ容易に検索・閲覧できる状態で保管し、かつ一般に公開すること。
3 出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、会議録に記載すること。

第64条【役員の選任、議院規則、懲罰】
1 両議院および国会総会はそれぞれ、議長その他の役員を選任すること。
2 両議院および国会総会はそれぞれ、会議その他の手続および内部の規律に関する規則を定め、また、院内の秩序をみだした議員を懲罰してよい。ただし、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数により議決すること。

第65条【議案提出権・国民発案】
1 国会議員に、単独または複数で、法律案を国会に提出する権利をみとめる。
2 首相に、内閣を代表して議案を国会に提出する権利をみとめる。
3 15万人以上の有権者に、共同で議案を国会に提出する権利をみとめる。

第66条【法律案の議決、民議院の優越】
1 法律案は、この憲法に定める場合をのぞき、両議院で可決して法律とすること。
2 民議院で可決し、連邦院でこれと異なる議決をした法律案は、民議院で出席議員の3分の2以上の多数でふたたび可決したとき、法律とすること。
3 2項の場合、民議院は国会総会を召集し協議すること。
4 連邦院が、民議院の可決した法律案を受け取った後、60日以内に議決しないときは、民議院は、連邦院がその法律案を否決したものとみなすこと。

第67条【連邦院の予算先議】
1 内閣は、予算を、さきに連邦院に提出すること。
2 予算について、民議院が連邦院と異なる議決をした場合は、国会総会を開いて協議し、その議決を国会の議決とすること。
3 民議院が、連邦院の可決した予算を受け取った後、30日以内に議決しないときは、連邦院の議決を国会の議決とすること。

第68条【条約の国会承認と民議院の優越】
 条約の締結に必要な国会の承認については、第66条の規定を準用すること。

第69条【首相の指名、省庁の設立・改廃】
1 首相は、民議院議員の中から、民議院の議決により指名すること。この指名は、大統領の指名をのぞく、他のすべての案件に先だって行なうこと。
2 国会総会は、国の各省庁の設立、および改廃を議決してよい。

第70条【議員への情報公開】
1 単独、または複数の国会議員が要求するあらゆる情報を、該当する国務相、または国や自治体の機関の長は、口頭または文書で提供すること。ただし、それが共和国の利益をいちじるしくそこなうことを確証できる情報をのぞく。また、この義務に対する違反および不作為は、違法とする。
2 前項の規定によって提供しなかった情報は、その時点で期日を定め、のちにかならず公開すること。その期日は、提供を求められた日から20年を超えてはならない。

第71条【議員の国政調査権
 議員に、単独、または複数で国政に関する調査を行ない、これに関して、証人の出頭および証言ならびに記録の提出を要求する権利をみとめる。これに応じないこと、またこれを妨害することは違法である。

第72条【国務相の議院出席】
1 首相その他の国務相に、議案について発言するため、議院に出席する権利をみとめる。また、答弁または説明のために出席を求められたときは、かならず出席し、その説明責任を全うすること。
2 前項の場合、国務相は、各1名の補佐者とともに出席してよい。