オランダ王国憲法(第7章)

第7章 州、郡、水防団およびその他の公共団体

第123条
(1)州や郡は、国会で決めて、廃止したり新設することができる。
(2)州や郡の境を変更するためのきまりは、法律で定める。

第124条
(1)州や郡の自治体は、その内部に対する条例を作り、またそれを治める権力をもつ。
(2)国会で決めたり法律にしたがって州や郡の自治体に、条例を作り、そこを治めるよう求めてよい。

第125条
(1)州や郡を代表するのは、それぞれ州会と郡会である。その会議は、国会が求めるか法律に定めるばあいを除き、公開とする。
(2)州を治めるものは、州行政部と王に仕える大臣である。郡を治めるものは、郡行政部と郡長である。
(3)大臣と郡長はそれぞれ、州会と郡会を司会する。

第126条
 国会で決めれば、政府が与えるべき行政指導を、大臣にやらせてよい。

第127条
 州会と郡会が定める条例は、国会で決めるか法律にしたがった例外をのぞき、有効である。

第128条
 憲法第123条に定めることがらを除き、第124条(1)で定める権力を、第125条で示した以外の組織に割り当てることができるのは、州会と郡会だけである。

第129条
(1)州会と郡会の代議員は、それぞれの州や郡のオランダ国籍をもつ住民が、直接選挙によって選ぶ。その選挙は、国会第二院が求める規準を満たしていなければならない。この条件は、代議員の資格についても同様である。
(2)代議員は、法律が定める制限を守りながら、比例代表方式によって選ぶ。
(3)憲法第53条(2)と第59条を、そのまま適用する。
(4)法律でとくに定めていなければ、州および郡会議員の任期は、4年とする。
(5)どんな地位が代議員と両立できないかは、法律で定める。その法律では、家族関係や結婚が障害となったり、法律に示される行為を犯して、代議員の資格を失うばあいも定めてよい。
(6)代議員は、投票で自分以外に左右されない。

第130条
 オランダ国籍をもたない住民には、オランダ国籍をもつ住民に求められる規準を満たしていれば、郡会議員を選挙する権利と郡会議員になる権利を法律で保証する。

第131条
 大臣と郡長は、王の布告により任命する。

第132条
(1)州や郡の組織と、それらの役所の構成と権力は、法律で定める。
(2)役所に対する監督については、法律で定める。
(3)国会が決めたか、法律によって示されたばあいだけは、役所の決定はその上からの監督にしたがう。
(4)役所の決定は、それが法律に反したりみんなのためにならないばあいは、王の布告によって取り消してよい。
(5)憲法第124条(2)で求める、規則を作り治めることに従わないものが出たばあい、どう対応するかは法律で定める。その法律では、州や郡の役所がみんなで職務を放り出したばあいは、憲法第125条と127条にしたがう必要はない、ということを定めてもよい。
(6)州や郡の役所が取ってよい税と、それらの中央政府とのお金の関係については、法律で定める。

第133条
(1)水防団を設けたり解散すること、その任務と規則、組織や役所の構成は、国会が決めるか法律にしたがうばあいを除いて、法律で定める規則にしたがった州条例によって、有効とする。
(2)水防団の立法機関やその他の権力、それらの会議へのみんなのアクセス権に関するきまりは、法律で定める。
(3)これらの、州その他が設ける役所の監督に関するきまりは法律で定める。役所が決めたことは、法律かみんなのためにならないばあいだけ、取り消してよい。

第134条
(1)職能や貿易などに関する公共団体は、国会が決めるか法律にしたがって設けたり解散させてよい。
(2)上の団体の、任務、構成、実務機関のもつ権力、会議へのみんなのアクセス権に関するきまりは、法律で定める。国会で決めるか法律にしたがって、その実務機関に立法権力をみとめてもよい。
(3)公的実務機関への監督に関する決まりは、法律で定める。それらの機関が決めたことは、法律かみんなのためにならないばあいだけ、取り消してよい。

第135条
 2つ以上の公共団体が関係することがらにともなう規則は、法律で定める。そこでは、憲法第134条(2)(3)が当てはまるような、新しい公的団体を設けることを定めてもよい。

第136条
 公的団体どうしの争いは、裁判に持ち込んだり、法律で判断が他の団体に任されていなければ、王の布告によって決着をつける。