アンケートの結果報告

この前のアンケート;

日米安保憲法第9条の将来について
http://research.news.livedoor.com/r/39609

は終了しました。ご協力ありがとうございました。

で、結果を見ると;

憲法9条は破棄、日米安保は維持  49.5%
憲法9条日米安保も破棄     31.0%
憲法9条日米安保も維持     14.7%
憲法9条は維持、日米安保は破棄   4.9%

と、なかなか興味深い結果が出た。

9条改憲派が8割を超えるのはまあ織り込み済み、という感じ。かつての「マガジン9条」のアンケート

http://www.magazine9.jp/vote/index.html

と同じくらいだ。新聞などのアンケートでは9条改正派はつねに半数以下なので、これはネットならではのバイアスと考えて良いだろう。

むしろ、注目すべきは護憲派改憲派それぞれの中での日米安保への姿勢であろう。こちらはまだ紋切り型の意見がはっきり出来ていないので、そこそこ割れるのではないか、また実勢を反映してくれるのではないかと考えていたからだ。もちろん、サンプル数200未満であまり決めつけてはいけないが。

大まかに言って、票数の比率はこんなところだ;

     | 安保維持 | 安保破棄 |  計  |
ーーーーー|ーーーーーー|ーーーーーー|ーーーーー|
9条破棄 |  11  |   7  |  18 |
ーーーーー|ーーーーーー|ーーーーーー|ーーーーー|
9条維持 |   3  |   1  |   4 |
ーーーーー|ーーーーーー|ーーーーーー|ーーーーー|
  計  |  14  |   8  |  22 |
ーーーーー|ーーーーーー|ーーーーーー|ーーーーー|

改憲派内では安保破棄派が維持派の半数を超えるのに対し、護憲派内ではわずか3対1である。これは何を意味するのだろうか。

改憲派に関していえば、「9条破棄、安保維持」従来の自民党タカ派的な改憲論ではない、新しい改憲論の萌芽が出てきていることを示しているように思う。もちろん、その中身は軍拡イケイケ核武装賛成派から9条+安保のセットは偽善と考える道徳派?まで様々で、定型はそんなにない混沌状態だろう。唯一共通しているのは、アメリカへの従属に対する反発ではないだろうか。

で、今回の最大の収穫だと思ったのが護憲派内の比率で、要するに護憲派の方が改憲派よりも日米安保に支持的ということだ。もちろん「9条維持、安保維持」はすなわち「現状維持」であり、先日の朝日の社説などの影響もあると思うのだが、かつてはこうではなかった。つまり、9条と原理的に相容れない安保(戦争放棄と軍事同盟がどうやって論理的に整合するのか、私は知らない)への護憲派からの反対はもっと強かったのではないか。これは、たんに社共が衰退したというだけの問題だろうか。

思うに、護憲派の「護憲」の内容なり意義が変質したのだと思う。まだ戦争体験者が生きていた頃の9条護憲は、悲惨な体験に基づく戦争への嫌悪、絶対平和への希求に発するものだったろう。しかしそうした世代が高齢化し、少なくなるにつれ戦争の記憶は風化し、護憲の重心はむしろ、すでに手に入れたグッドライフを維持するための手段、うっとうしい国際情勢との関わりを避け、平和の夢にまどろむための子守唄(言い過ぎかな、しかし駐留米軍イラク戦費の負担は事実上の参戦なのだけど)、あるいはアメリカの重すぎる注文をかわすためのお守りに移って行った。つまり護憲を支える思想は平和主義からすでに機会主義に変わっているのではないだろうか。ならば、矛盾は気にならないか、取引材料として9条も安保も持っといた方が得だよ、といった発想にもなりうるわけだ。個人的にはこういう議論には(そもそも私は両方破棄派だが)まったく共感できないし、属国の居直りにしか思えないのだが。

さらに、新聞アンケートでの比率に合わせて、護憲派がちょっと多くなるようその比率をそのまま5倍するとこうなる;

     | 安保維持 | 安保破棄 |   計  |
ーーーーー|ーーーーーー|ーーーーーー|ーーーーーー|
9条破棄 |  11  |   7  |  18  |
ーーーーー|ーーーーーー|ーーーーーー|ーーーーーー|
9条維持 | 3→15 | 1→5  | 4→20 |
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  計  |14→26 | 8→12 |22→38 |
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つまり、安保をもっとも支えているのは、数の上でも護憲派だということになる。あーあ、自説を訂正しなければならないかなあ。