事故日誌20101216

*連絡等が滞っている言い訳も兼ねて、ここ数日の経過を報告します。

昼からのユトレヒトでの音大ビッグバンド(いつもながら、呆れるほどモチベーションが低い)も終わり帰宅、楽器置いてバイトの準備し、1510自転車で家出る。昨日までの雪も融かされてじゅうぶん走れる状態。時間に余裕があり、こういう日のトラムは雪だらけの自転車で混んでグチャグチャなので走ることにする。

新調したオーバーズボンをはき防寒も怠りなく、気持ち良く走り1530ごろOranjebaanを通過、高速A9からの降り口と交差(こういうところでは自転車優先)、あれ、車だ、なんで走ってるんだ。前輪に当たるぞ。

衝突。右の額が道路にゴンと当たり、「あ、やばい」と思う。

つぎの瞬間には、右体側を下に道路の中央右寄りに転がっている。下半身がグニャッと萎えている感じだが、骨折とか外傷の痛みや感触はない。むしろ掌が強く打ったらしく痛む。しかも、手がちょうど小さな水たまりに浸かっており、手袋がぐしょ濡れで嫌な気分。あれー、ぜんぜん意識あるじゃん、と結構なスピードで当たっただけに、我ながらやや意外の感。ただ無力に固まっている感じ。

ドライバーが「ソーリー、ソーリー」と叫びながら降りてくるのが視界に入る。初老の白人女性。続いて、後続車も停まって体格のいい女性が出てくる。「どうしたの?」

ドライバーさん「私が悪いんです、見てなくて。」(私:やれやれ、自分の状況は理解しているようで、一安心)
女性「大丈夫?私は医師だから安心して、あ、いえ看護師。」(私:医師を名のった方が安心されると思ったかな?)「どうしてほしい?救急車呼ぶ?」(私:こういう状態でも聞くか・・・)

私「警察と救急車を。」

意識レベルを確かめ、ドライバーさんが警察と救急車を呼んだところでもう一台の後続車から男性ドライバーが「おーいどうした?」と弾んだ声で降りてくる。

看護師「道路の外で休んだ方がいい。動ける?」(私:あれ、ぜんぜん触診もしてないけど、骨折がないか動かす前に確認はした方が?そもそも、むやみに動かさないのが原則じゃないのか?)

男性「立てるかい?」(私:これだから素人は怖い)

私「自力じゃ無理だよ。」というわけで、二人に両側から支えてもらい道路脇へ。ぶつかった車、そして自分の自転車が転がっている。男性が自転車を片付けてくれる。「分かりやすいように信号のところに停めといたよ!チェーンが外れてるだけで壊れてないよ!はい鍵!」と妙に明るい。

救急車を待つ間に携帯をコート左袖のポケットから出す。幸いぶつけなかった方なので動く。バイト先に授業キャンセルの連絡を入れる。こういう時にはいつも、我ながら落ちついてしまうので、きっと大したことないように受け取られてるんだろうなあ(しかし本当にパニックに陥ったら、論理的にしゃべれなくなるか沈黙するかで、興奮して状況をまくしたてる、というのはよほど元気か重傷のフリをしている時に限られるんではないだろうか)、と思いつつ電話を切る。

救急車が来て、車内へ。独りでは上がれない。救急士は中年男性と若い女性。上着を脱がしたりの手際悪い。ここで手袋の片方が破れているのに気付く。手袋を外すと、両手の親指付け根に内出血。左手のほうが痛むが、指は動くので捻挫だろう。帽子にも、地面と擦ったところに穴。身体状況を聞かれる。警察官も乗り込んで来て、住所、ID等を確認。「オッケー、じゃあ近いうちに警察と保険会社から連絡が入るから。ではグッドラック!」と握手して去る。あっさりしてるなあ。で、救急士からは「どこ行く?病院?」(私:この状況で「家帰りたい」とか言う奴がいるのか?)←ただし、後で考えればいったん帰宅して家族と病院へ、という可能性もあるわけだ。女性の救急士に「自転車の鍵は、ズボンのポケットではなくそこのバッグに放り込んでおいてほしい」ことを伝えるのに妙に時間がかかる。

ストレッチャーに仰臥位で固定され、すぐ近くのアムステルラント病院へ。固定した直後に背筋などがけいれんしたように痛み出す。「背中痛いんだけど・・・」「もうすぐ着くから」(ああ・・・)

病院のストレッチャーに移って救急外来へ。しかし寝ているのがけっこう辛い。ドクターが来て眼球の動きや指示動作(脳の異常のチェック)をみる。右のおでこにたんこぶができているのは触っても分かるが、脳波を見るほどではない、ということか。

若い男性医師「レントゲンはリスクがあるからねー。痛み止めを出すんでいったん家に帰って、あすは仕事休んでゆっくり、あ、日本人には難しいだろうけどね、ハハハ(私:どうやってこんな若いうちに、この手の愚劣なステレオタイプを身につけるんだ?)。それで痛みがひどくなるようだったら写真撮って検査するからまた来てね。」

尿検査の結果も異常なく、帰宅。服を着る時に、買ったばかりのオーバーズボンに穴(両膝)が開いているのに気付き、やや落ち込む。よくみるとハーフコートのフードにも道路と擦れて穴が開いている。ゴアテックスの気に入っていたけっこう高い奴だけにいっそう落ち込む(そうだ、弁償を要求できる側なのだ、ということにはだいぶ後で気付く)。

救急外来を出、院内薬局の前に来ると1705。1730にならないと開かないとのことで、背中や腰の痛みをこらえつつ待つ。痛み止め+胃腸薬をもらう。保険会社には連絡済みとのことで、タダ。外に出るがタクシー乗り場らしきものは見えず。病院の正面玄関から受付に行ってタクシー会社の番号を教えてもらい電話するが、空車なし。よちよちとは歩けるのでバス乗り場へ行き、自宅のすぐ近くを通る199番のバスで帰宅1830。同僚に帰宅と容態の連絡。ショックもあってか、布団引いてパジャマ着るとすぐ熟睡。