生活保護考

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111115-00000057-jij-soci

永住外国人生活保護の対象」=大分市の却下取り消し—福岡高裁

大分市生活保護申請を却下された永住資格を持つ中国籍の女性(79)が、「外国人にも受給権があり、保護が必要な状態だった」として、市を相手に却下の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決が15日、福岡高裁であった。古賀寛裁判長は訴えを退けた一審判決を見直し、大分市の却下処分を取り消した。

原告弁護団によると、行政措置として行われてきた外国人への生活保護について、法的保護の対象と認めた判決は初めてという。

一審大分地裁は昨年10月、「外国人には生活保護法の適用はなく、永住資格があっても同じだ」などとして請求を退けていた。

これに対し、古賀裁判長は「難民条約の批准や外国人に対する生活保護の準用を永住外国人に限定した指示(1990年)により、国は一定範囲の外国人も法的保護の対象とした」と判断。その上で、女性は生活保護が必要な状態だったと認めた。 

そりゃ地域住民なんだから当然だろう、と思って上のリンクのコメント欄をみると、上から(そう思う順);

「在日に受給する必要はない」
「対象になるわけない。大好きな反日祖国に帰れ。」
「在日や外国人への生活保護給付は反対!嫌なら国に帰りな」
「>外国人にも受給権があり
根拠を知りたい。
>保護が必要な状態にあった
帰ればいい。税金で養う必要性がわからない。」
「国に帰って下さい」

・・・頭が痛くなる。どうか、在外日本人や日本人海外旅行者の迷惑になりかねないコメントは控えてほしい。

まず、永住外国人が税金を納めているとか、本件ではないが在日韓国・朝鮮・台湾人は敗戦まで日本人で、日本政府に一方的に国籍を奪われて(いまこれをやると国際人権規約に違反)から外国人なのだ、ということくらいは押さえてからもの言ってほしい。

ミクシィだともう少し上品に?日本国憲法第25条

第25条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

を引いて、社会保障は「国民」に限定されているから外国人は差別待遇してよい、みたいなことを得々と述べる偽インテリが現れる。

憲法に規定していない=権利がない=差別してよい、みたいな論理も驚き(ついでにいうと、日本国憲法は合衆国憲法とならび外国人の権利規定がない、今どき珍しい憲法)だが、では日本も批准している国際人権規約A(社会権)規約;

第2条
2 宗教、政治的意見その他の意見、国民的 [national] 若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束する。

第9条
この規約の締約国は、社会保険その他の社会保障についてのすべての者の権利を認める。

はどうなるのだ。規約には強制力がある。

また、日本国憲法の英語(いわば原文)版によると;

Article 25.
All people shall have the right to maintain the minimum standards of wholesome and cultured living.
In all spheres of life, the State shall use its endeavors for the promotion and extension of social welfare and security, and of public health.

であって、生存権はすべての人に保障されている。これは日本国憲法の国内向けと外向けの「二枚舌」部分の一つなのだが、法的効力がないとはいえ、外国に対してはこちらで説明することになるから苦しいだろう。