アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第8章(1)

(p.88)
州政府

 地区パンチャーヤットおよび市政評議会は、おのおのの代表を州パンチャーヤットに派遣する。したがって、その[権能の]強さは、とうぜん州ごとに異なる。小さい州では、地区パンチャーヤットおよび市政評議会の各代表と並んで、ひとりかそれ以上の代表者を州政府へ送ることにしてもよい。
 州パンチャーヤットの任期は3年とし、通常年2回議事を行なう。

機能

 州パンチャーヤットの機能は次の通り;

(a) 地区パンチャーヤットの活動を指導・監督・調整し、会計を監査する。
(b) 非常事態に備え、地区警防団予備隊を運営する。
(c) とくに高等技術教育と研究のため、大学教育を組織・運営する。
(d) 州内に、よく行き届いた交通および通信網を整備する。交通手段は州パンチャーヤットの所有・管理とする。
(e) 適切な灌漑施設を設置する。

(p.89)
(f) 非常時に、飢饉への緊急支援を行なう。
(g) 州立協同組合銀行を運営し、地区パンチャーヤットへ低利融資を供与する。
(h) 州内の天然資源を開発し、必要ならば「枢要」産業を管理する。

州境

 州どうしの境界線は、おもに言語圏にもとづき確定するのがよい。いうまでもないが、現存する州境は歴史的事由によったもので、その背景に科学的配慮はまったくない。多くは、構成に調和と均質さとが欠けているのだ。それゆえ、州の編成は言語にもとづき見直さねばならない。これは絶対に必要である。なぜなら、立法・執行・司法・教育に関するあらゆる業務は州の言語を通じて行なうべきで、二つ以上の言語をかかえる州は、そこで多くの困難を来す。さらに、最高水準にいたる教育指導のなかだちとして、学生たちの母語のほかに適切なものはありえない。二言語あるいは他言語の州で、母語による教育伝達はおよそ実施不可能なのである。この観点からすると、もっとも大幅な再配置が必要なのは、ボンベイ州・マドラス州・中央州であろう。