アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第9章(2)

権能
 全インド・パンチャーヤットの権能は、地方・州パンチャーヤットによる最大限の自治という基本原則に合わせて、たいへん限られたものとなる。その権能は以下の通り;

(a) 外国の侵略に対し、国土を防衛する。
(b) 国防軍を運営し、非常時に国内の法と秩序をまもる。
(c) 州の経済開発計画を調整する。
(d) インド全体にとって重要な、「枢要」産業を管理する。
(e) インド全体の交通・通信部門を管理する。
(f) 通貨・税関・国際貿易を規制する。
(g) 科学技術研究分野でインド全体にとって重要な、少数の教育機関を運営し、教育水準の平準化に関して各州に助言する。
(h) 国家の外交政策をつくる。

 そのほかの権力は、中央政府でなく、連邦を形づくる各単位に属するべきである。

統治

 全インド・パンチャーヤットは最高立法府であり、与えられた権能にしたがって立法を行なう。全インド・パンチャーヤットの議長が国家元首を務める。
 連邦パンチャーヤットは、さまざまな省庁に長官あるいは行政官[コミッサール]を任命する。これら長官は、全インド・パンチャーヤットの構成員であってはならない。そうすることで、立法部と執行部の権能は分離される。
 中央執行部あるいは長官協議会[=内閣に相当]は、中央立法部あるいは中央パンチャーヤットに対して全面的に責任を負う。長官の任期は3年とするが、原則として全インド・パンチャーヤットが新しくなっても交代させられることはない。ただし、非効率や収賄のばあいは別である。罪を犯し、あるいは重大な失政が発覚した長官は、任期満了前でも直ちに罷免される。
 長官は国の最高の才能の集まりであるべきで、党派や地域の利害に関わってはならない。また、幅広い地方自治のためには、恒常的で硬直した政党などあってはならない。あらゆる努力が、すべての社会集団とくに少数者を公正に代表した中央立法部を形づくるために払われれば、社会集団比率の危険な原理*が、将来の自由なインドの憲法の一角を占めることはない。じっさい、インドが非暴力の完全な発展に至れば、少数者が疎外感や劣等感に苛まれることはありえない。