日本連邦共和国憲法草案(第4章)

第4章 内閣

第82条【内閣の地位、執行権】
 主権者である共和国のすべての民は、内閣に、国会の信任にもとづき、憲法および法律を忠実にまもり、民びとに奉仕する限りにおいて、法の執行権をみとめる。

第83条【内閣の組織】
1 内閣は、法律にしたがい、首相および国務相で構成する。
2 首相を、内閣の首長と定める。
3 首相および国務相は、<文民であること。また、>私的にも公的にも国会議員以外の兼職を禁ずる。
4 内閣に、執行権の行使について、国会に対する連帯責任を課す。
5 内閣に、政府各省に対する人事権をみとめる。

第84条【国務相の任免、国務相の辞職勧告】
1 首相は、国会の助言のもとに、国務相を任命すること。
2 首相に、国務相を罷免する権限をみとめる。
3 国務相は、首相に辞職を勧告してよい。

第85条【閣僚の宣誓義務】
 首相および国務相は、就任のさい、国会両院の公開の会議で、法律に定める基準にしたがい、身の潔白を証し、憲法への忠誠と、職務の誠実な遂行を宣誓すること。

第86条【内閣の信任】
1 首相は、内閣成立後10日以内に、国会両議院へ内閣信任の決議案を提出すること。
2 内閣信任の決議案を両議院で可決しない場合、首相はその時点から20日以内に新たな内閣を組閣し、成立後10日以内に、国会両議院へ信任の決議案を再提出すること。
3 前項の場合でも内閣信任の決議案が可決されない場合、あるいは国会が内閣不信任の決議案を可決し、または信任の決議案を否決した場合、首相は内閣を総辞職させるか、大統領に民議院の解散を提案すること。ただし国会が新たな首相を指名した後で、解散を提案することはできない。

第87条【内閣の総辞職】
 首相が欠けたとき、または民議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は総辞職すること。

第88条【総辞職後の内閣の職務】
 前2条の場合、内閣は、新しい内閣が信任されるまで、引き続きその職務を行なうこと。

第89条【首相の職務】
 首相に、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務および外交関係について国会に報告し、ならびに国の機関を指揮監督する権限をみとめる。

第90条【内閣の事務】
 内閣は、ほかの一般行政事務の他に、以下の事務を行なう。
一 憲法にしたがって法律を誠実に執行し、共和国を統治する。
二 外交関係を処理する。
三 条約を締結する。ただし事前に、つごうによっては事後に、国会の承認を経ること。ただし、締結にともない、法律の改廃または制定が予定される、あるいは国会の議決すべき案件をともなう条約は、事前に国会の承認を経なければ無効とする。
四 法律の定める基準にしたがい、役所に関する事務を監督する。
五 予算を作成して国会に提出する。
六 法律に定めて内閣に委任している規定を実施するため、政令を制定する。ただし、政令には、とくにその法律に委任を定めている場合をのぞき、罰則を設けてはならない。また、各政令には5年以下の時効をもうけること。
七 減刑刑の執行の免除および復権を決定する。ただし、事前に国会の承認を経ること。

第91条【法律・政令の署名・連署
 法律および政令は、主任の国務相が署名し、首相が連署したものを有効とみなす。

第92条【国務相の起訴】
 国務相を、その在任中、首相の同意なしに、起訴してはならない。ただし、このために起訴する権利が消滅することはない。