日本連邦共和国憲法草案(第5章)

第5章 司法

第93条【裁判所の地位、裁判官の独立】
1 共和国は、民びとの権利を守るために、司法権は裁判所にのみ、みとめる。
2 裁判は、共和国の名において行なうこと。
3 裁判官は、独立して職務に当たり、この憲法および法律にのみしたがうこと。
4 裁判官の兼職は禁止する。

第94条【司法権の独立】
1 共和国は、司法権の独立を保障する。司法に関する法律は、とくに行政権からの独立に留意して、制定すること。
2 特別裁判所の設置は禁止する。

第95条【最高裁判所の構成、最高裁判所裁判官の任命】
1 最高裁判所は、法律に定める員数の裁判官により構成する。
2 最高裁判所裁判官は、国会総会が票決し、得票数の順に指名した候補者の中から、内閣が選任すること。ただし、候補者の数が定員の2分の3を超えてはならない。
3 最高裁判所長は、前項の裁判官の中から、首相の指名にもとづき、大統領が任命すること。

第96条【最高裁判所裁判官の国民審査】
1 最高裁判所裁判官は任命後、初めて行なわれる民議院議員総選挙のさい、国民投票による審査に付し、その後10年を経過したのち初めて行なわれる民議院議員総選挙のさい、さらに審査に付し、その後も同様とすること。
2 15万人以上の有権者が共同で発案した場合は、ただちに国民投票による審査を行なうこと。
3 前2項の場合において、投票者の過半数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官を罷免すること。
4 審査に関するその他の事項は、法律に定めること。

第97条【最高裁判所裁判官の報酬・定年】
1 最高裁判所裁判官には、すべて定期に相当額の報酬を与える。この報酬は、在任中、減額してはならない。
2 最高裁判所裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官すること。

第98条【裁判所の規則制定権、検察官の地位】
1 最高裁判所に、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限をみとめる。
2 最高裁判所は、下級裁判所に、その規則を定める権限を委任してよい。
3 検察官は裁判所に所属し、裁判所の定める規則にしたがうこと。

第99条【下級裁判所の裁判官】
1 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所が任命すること。
2 下級裁判所の裁判官は、任期を10年とし、連任してよい。ただし、法律の定める年齢に達した時には退官すること。
3 下級裁判所の裁判官には、すべて定期に相当額の給与を与える。この報酬は、在任中、減額してはならない。

第100条【裁判官の身分保障
 裁判官を、最高裁判所が心身の故障のために職務を行なえないと決定した場合、あるいは憲法に定める弾劾によった場合以外、罷免してはならない。役所には、裁判官の懲戒処分を行なう権限をみとめない。

第101条【裁判および裁判記録の公開】
1 裁判の対審および判決は、公開法廷で行なうこと。
2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公序良俗あるいは当事者の人権を著しく害するおそれがあると判断した場合は、対審は、公開しないでよい。ただし、政治犯罪、公務員の職務に関する犯罪、出版および表現に関する犯罪の対審は、かならず公開すること。
3 法律に定める場合を除き、裁判記録は公開し、そこでは判決の根拠を明示すること。

第102条【憲法裁判所の地位】
 共和国は、憲法裁判所を、以下の審判に関する終審裁判所と定める。
一 あらゆる条約、法律、条例、命令、規則または処分が、憲法に適合するかしないかを審判すること
二 法律あるいは条例が、批准された条約に適合するかしないかを審判すること
三 弘的機関の間の、権限に関する争訟を審判すること
四 弾劾を審判すること
五 弾劾を受けた大統領の職務を停止し、あるいは罷免すること
六 国民発案および国民投票の適法性を審査し、その結果を認証し公表すること
七 国会議員選挙の、実施における争訟を審判すること
八 憲法が保障する権利、自由および義務に関する、法律に定める訴願を審判すること

第103条【憲法裁判所裁判官】
1 憲法裁判所は、首相の指名にもとづき大統領が任命する、15人の裁判官で構成する。
2 前項の裁判官のうち、5人は国会総会が票決により、候補者から得票数の順に選出した者で、他の5人は最高裁判所が選任した者であること。
3 憲法裁判所長は、1項の裁判官の中から、国会総会の議決にもとづき、大統領が任命すること。
4 憲法裁判所裁判官の任期は、終身とする。
5 憲法裁判所裁判官には、職務の高い独立性と中立性を要求し、政党あるいは労働組合に加入し、または政治や政治性の高い活動に関与することを禁じる。

第104条【憲法裁判所の規則制定権】
 憲法裁判所に、審判に関する手続き、内部規律および司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限をみとめる。