日本連邦共和国憲法草案(第6章)

第6章 財政、監査院および護民官

第105条【財政処理の権限】
 共和国の財政、税収や国費の支出、あるいは国による債務の負担は、すべて国会の議決にもとづくこと。

第106条【課税の要件】
 国や自治体は、法律に定めていない税を課してはならない。また、国会の議決を経たのち、税の目的や内容の変更は禁止する。

第107条【予算の作成と議決】
1 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出すること。予算は、国会の審議と議決をへて、確定とみなす。
2 内閣は、会計年度ごとに予算案を編成し、会計年度が始まる90日前までに国会に提出すること。国会は、会計年度が始まる30日前までに、予算案を議決すること
3 新しい会計年度が開始するまでに予算案が議決されないときは、内閣は、前年度予算に準じる暫定予算を、国会に提出し、議決を経ること。
4 予算ないし暫定予算が議決されるまで、税を課してはならない。

第108条【補正予算
 政府は、予算に変更を加える必要が生じたときは、補正予算案を編成して国会に提出し、議決による承認を受けること。

第109条【継続費・予備費
1 一会計年度を超えて引き続き支出が必要なばあいは、内閣は、その年限を定め、継続費として国会の議決を経ること。
2 予備費は、はじめに総額で、国会の議決を経ること。その上で、予備費の支出は、次期国会の承認を受けること。予備費の内容および上限は、法律に定めること。

第110条【弘共財産の支出利用の制限】
 税収その他の弘共の財産を、支出され、あるいは利用する事業および団体に対し、管轄する役所は、民びとへの説明責任を果たす目的および範囲で、法律にしたがい、その財政および活動を監査すること。

第111条【監査院】
1 共和国は、監査院を、役所の活動に対する、独立かつ最高の検査機関と定める。
2 監査院は、国会総会が票決により、候補者から得票数の順に選出する、法律に定める数の監査委員で構成すること。監査委員の兼職は禁止する。
3 監査院は、役所の行為に関して、合法性の事前審査、および予算・運営に対する事後の監査を行なうこと。また法律にしたがい、役所が補助する団体の、財政・運営に対する監査に参加すること。国会は、法律に定めて監査院の業務を追加してよい。
4 監査委員には、その業務に必要なすべての文書・データ・報告を得る権限をみとめる。
5 監査院は、3項の業務のほか、毎年度、国会および民びとに報告書を提出すること。そこで、違反または背任と監査院が判断した行為があれば、国会に直接報告すること。

第112条【決算】
 決算は、毎会計年度の終了後6ヶ月以内に、監査院の検査報告とともに、内閣が国会に提出すること。

第113条【護民官
1 護民官に、依頼に応じ、または独自に役所を調査し、また法律にしたがって役所に助言する権限をみとめる。護民官は、違法ないし背任行為を認めれば、それを裁判所に訴えること。
2 前項の目的のため、国会総会は、法律に定める数の護民官を票決により、候補者から得票数の順に選出すること。
3 護民官には、裁判所または役所の会議に出席する権利、および裁判所または役所の、議事録その他のあらゆる文書を閲覧する権限をみとめる。すべての裁判所、役所および役人は、護民官が要求する、あらゆる文書・データ・報告を提出すること。この義務を、護民官の監視的権限のもとにあるすべての者も果たすこと。
4 検察官は、要求があれば護民官に協力すること。
5 護民官の権限および仕事の手続きを、法律に定めること。また国会は、議決により護民官の業務を追加してよい。