電力さんはいつも大丈夫

静岡・浜岡原発:停止決定 中部電、赤字転落へ 燃料費増で
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110510ddm008040078000c.html

浜岡原発の全面停止を受け入れた中部電力には多くの経営課題が待ち受ける。休止中の火力発電所を稼働させるなどして、電力の安定供給を継続する方針だが、火力発電用の液化天然ガス(LNG)の調達費用の増加で、12年3月期の営業赤字転落は確実。1951年の会社設立以来初めてで、株主から経営責任を追及される可能性もある。水野明久社長は当面は電気料金を値上げしない方針を示したが、極めて厳しいかじ取りを迫られる。

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どうしてこういう時に限って電力さんは、か弱い一民間企業みたいなポーズを取るのかなあ。もっと国策独占企業らしく、堂々と振る舞ったらいいのに。

こちらのブログ;

原発はなぜ儲かるか?
http://renqing.cocolog-nifty.com/bookjunkie/2011/05/post-f6f7.html

を見ればお分かりの通り、燃料費も修繕費も新規設備投資も、すべて電力料金を計算するさいの総原価に含まれる。そして電気料金は一定の利益率が補償されるように総原価に比例して決定される。つまり、今年度は不測の事態で昨年度たてた予定より燃料費がかさんで赤字になるかもしれないが、来年度も同じ状態が続けば、燃料費や安全対策費の増大はそのまま電気料金に転嫁されうるのだ。次年度の黒字が確定的なのだから、心配するにはおよばない。だいじょうぶ電力さん!

しかも、競争相手がいない独占企業なのだから、なおさら単年度の赤字を恐れる理由はない。旧国鉄だって、莫大な赤字を累積しながらちゃんと立っていた(分割民営化はもっぱら別の理由による)ではないか。公益事業なんだからもっと胸を張ればいいのだ。また、原発を停止してもなお発電容量はじゅうぶん、という試算;

http://www.isep.or.jp/images/press/110509ISEPpress-Hamaoka.pdf

もあるのだから、公共性にもなんら傷は付かない。がんばれ電力さん!

また、こういう時だけ株主の顔色を心配するのも国策独占企業の電力さんらしくない。そもそも日本にはこういう時うるさい個人株主は少なく、法人どうしで株を持ち合っているから株主の意向が経営を左右することはほとんどない。

http://www.ullet.com/%E4%B8%AD%E9%83%A8%E9%9B%BB%E5%8A%9B/%E5%A4%A7%E6%A0%AA%E4%B8%BB#%E5%A4%A7%E6%A0%AA%E4%B8%BB/rd/1/1/search.html

を見たって、大株主は銀行・信託銀行と証券会社ばかりだ。さすが電力さん!

あと、保有株数は少ないくせに株主総会に乗り込んでくるような不埒な個人株主には、いつものように総会屋さんという専門の業者さんにアウトソーシングして処置してもらえばいいのだ。負けるな電力さん!心配ご無用!