アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第10章(1)

(p.97)
X
司法

 英国政府がインドに導入した司法制度は、この国の社会経済生活にもたらされた一大惨事であった。かつてパンチャーヤットは、民事・刑事の裁判を即断即決でやっていた。ニセの証人や偽証は、パンチャーヤットに対する最大の罪とされてきた。だから正義は安価かつ公正だったのだ。いっぽう現代の法廷は反対に、非常に高くつく。まったく平凡な訴訟でさえ、処理に数年とは言わなくとも数か月はかかる。司法の混み入った手続きは、不正直と虚偽を助長する。たくさんの弁護士が村に客引きの網を張りめぐらし、純朴そのものの村人に、毎年数千万ルピーを下劣で無用な訴訟のためにつぎ込ませ、搾り取っている。偽証とニセ証人の方がここでは正貨で、真実や正直さは価値を失う。こうして英国式司法制度は、公衆道徳を、高めるどころか果てしなく堕落させる、まさにその道具となってきたのだ。だから、この制度に別れを告げるのは、われわれや民族にとって早ければ早いほど善い。モーリス・ハレット卿のような極めて反動的な総督でさえ、さいきんはこう述べている。
「しばしば思うのだが、インド総督府の政策が誤った方向に舵を切ったのは、統治の中央集権化を押し付けた時ではなかったか。そのため村は、古い制度のもとでは多かれ少なかれ自らの組織に負っていた責任を見失い、それにともないインドは病んできたように思う。総督府は、その紋切り型の発想から統制の効いた制度を願うあまり、西洋式の行政裁判所のような制度を作り上げたのだが、そのとき忘れていたのは、じつはこうした仕事の多くは、村じしんが内部で処理するほうがより良く、かつ適切に行われうる、ということだった。私は、あらゆる村あるいは小さな村むらの連合では、パンチャーヤットが権力を振るい、小さな争いは、刑事であれ民事であれ収益にまつわることであれ、すべて解決するようであってほしい。」

土居健郎「漱石の心的世界」(弘文堂) 雑感

本書が異文化・外国語との格闘を経た著者(それは漱石のイギリス体験とも重なる)ならではの優れた漱石論であることは言を俟たないが、冒頭の「坊っちゃん」に関しては一点読み誤りがある。

それは、清が坊っちゃんが大きくなってから彼の家に奉公を始めたと措定していることで、ていねいに本文の時系列を追うと、坊っちゃんの母親が亡くなった直後、勘当されかかったところで「十年来奉公している」ことになっていて、その5、6年後に父親が死去し、坊っちゃんも中学を卒業しているから、遅くとも坊っちゃんが物心付いた頃にはすでに家にいたことになる。寝小便の思い出話をして坊っちゃんを困らせるあたりもそれを裏付けていよう。

そう考えると、清がほとんど坊っちゃんの育ての親的存在で「まるで自分を製造したように」誇っても不思議はないわけで、また坊っちゃんの心的パターンもお見通しであろう。

いや、むしろ著者が指摘するように清と共依存で一体になっているからこそ、坊っちゃんもそれ以外の親密な人間関係を求めず、また安心?して破壊的な人間関係を家族・同僚・生徒との間に繰り広げることができた、とも言えそうだ。その意味でも、小説「坊っちゃん」の影の主人公は清なのだと思う。

ちなみに、坊っちゃんは江戸っ子(漱石が自身を投影しているとすれば維新で没落した名主の家系)で戸主相続権を持たない次男、清は「瓦解」(=いわゆる明治維新)で没落した武家の娘、山嵐会津人と、坊っちゃん側にはみごとに維新・明治体制の「負け組」が勢揃いしている。出版当時の読者であれば、そこに維新から引きずって来た鬱屈と爆発を読み取ることも容易であったろう。また清の坊っちゃんへの溺愛・同情も、明治民法下の家制度と無関係ではないと思う。

また、「坊っちゃん」が1906年、日露戦争講和の翌年、戦勝ムードの一方で日比谷焼打事件などで騒然としていた頃の作品であることにも気をつけたい。「それから」の代助の台詞、

「何故働かないつて、そりや僕が悪いんぢやない。つまり世の中が悪いのだ。もつと、大袈裟に云ふと、日本対西洋の関係が駄目だから働かないのだ。第一、日本程借金を拵らへて、貧乏震ひをしてゐる国はありやしない。此借金が君、何時になつたら返せると思ふか。そりや外債位は返せるだらう。けれども、それ許ばかりが借金ぢやありやしない。日本は西洋から借金でもしなければ、到底立ち行かない国だ。それでゐて、一等国を以て任じてゐる。さうして、無理にも一等国の仲間入をしやうとする。だから、あらゆる方面に向つて、奥行を削つて、一等国丈の間口を張はつちまつた。なまじい張れるから、なほ悲惨なものだ。牛と競争をする蛙と同じ事で、もう君、腹が裂けるよ・・・」

を想起すると、坊っちゃんが依存し、金も平気で借りており、破壊的人格の育ての親、かつ大甘な実の保護者である清を明治日本のスポンサーであり日清・日露戦争に駆り立てた英国に準えることも可能ではないか。そう考えると「坊っちゃん」は漱石による明治日本、およびそれが作り上げた男性像のやや辛辣な自画像、という気がしてならない。

自己責任考

「海外取材は?」「自己責任です」
「海外旅行は?」「自己責任です」
「海外出張は?」「自己責任です」
「海外赴任は?」「自己責任です」
「国内の安全は?」「自己責任です」
「老後の備えは?」「自己責任です」
「子供の教育は?」「自己責任です」
「納税は?」「それは義務です」

対日本人テロ考

外国に出かけてもトラブルに巻き込まれるだけだ。我々に反感を持っている国もあるし、世界征服を狙う怪しい宗派のテロリストが国のあちこちを闊歩している。幸い我々の製品を欲しがっている友好国もあるんだから、彼らにモノを買いに来てもらえば済むことだ。さあさあ、カルトは早いとこ追い出して出入国管理をしっかりやろう・・・
という、江戸時代初期の人びとの気持ちを理解できる地点に日本人はいま立っているように思う。

アジア姿勢保持プロジェクト:レポート2014.12

本プロジェクトが2014年12月に実施した事業につき、以下の通り報告します。

事業名:バーン・フアンファーでの製作・調整およびワークショップ

日時:2014年12月23・24日

場所:バーン・フアンファー(障がいをもつ、身寄りのない0〜7歳児の養護施設)、タイ王国ノンタブリー県パークレット郡

事業実施者:
山崎雅幸(姿勢保持専門家。アジア姿勢保持プロジェクト、株式会社シーズ)
松本和志(通訳、コーディネーター。アジア姿勢保持プロジェクト)

学習者:
マムアンさん(理学療法士バーン・フアンファー勤務)
チャトリーくん(車椅子製作者、Sawasdee Promed Co. Ltd.)

事業協力者:
東村まゆみ(理学療法士青年海外協力隊バーン・フアンファー勤務)
プーさん(理学療法士バーン・フアンファー勤務、渉外担当)
ほかバーン・フアンファーのスタッフの皆さん

見学者:
熊澤友紀子(WAFCAT財団事務局長)

事業対象者:
バーン・フアンファーで生活するほぼ寝たきりの(車いすに座れず、持ってもいない)子ども4名
医療ケアが必要な同施設の子どもで、水頭症の子1名


事業内容:
ほぼ施設で寝かせきりの子ども4名に、日本から持参した車いす2台、チルト&リクライニング機能のあるバギー1台を寄贈。

寄贈した車いす、バギーおよび施設の遊休車いす1台を改造・調整し、上記の子ども4名が座って生活できるようになった。

作業は23日午前〜24日昼にかけて行い、製作と並行してプロセスや要点をマムアンさん、チャトリーくんに説明した。
24日午後、完成した車いす・バギーに座った子どもたちを前に、バーン・フアンファーの職員約10名に対し山崎がプレゼンテーションを行った。

プレゼンテーションのあと医療ケアが必要な子どもの棟で働く施設職員の依頼で、病院へ搬送する時いがいほぼ寝たきりの水頭症の子1名を、タオル等を使ってバギー(さる8月のワークショップに持参したものがサイズ違いのものと交換したため遊んでいた)に座らせ、要点を山崎が説明。このバギーは同棟に寄付。


事業成果:
施設から当初頂いていた要望には、すべて応えることができた。

テーブルの付いた車いすに安定して座り、自由に手を動かせるようになるや、早速iPadで遊びはじめた子どももいて、QOLの向上は明らかである。

事業者は水頭症の子どもの姿勢保持というこの施設での新たなニーズを発見できた。またそうした子どもも適切な姿勢保持により座れることを示せた。

専門職のスタッフからは、まず子どもたちが座って生活できるようになったこと、また介護スタッフなどにそれを見せることができたことで、高い評価を得た。

いっぽう、座れることによる活動の広がりなども示したかったが、時間の制約などもありそこまでは十分至っておらず、この辺の成果・効果は未知数。

なるべく早く座ることで二次障がいを予防できる、といった意義に関しては伝えきれていない。

さいしょ何が起こるのか観察モードだった学習者も、仮合わせなどで子どもたちが座れる様子を見るうちに、積極的に参加するようになった。おしまいには、どこでこういう技術を学べるのか、日本へ勉強に行くことはできないか、といった質問を発していた。

介護スタッフの間では、主に若いスタッフ、および医療措置が必要な棟のスタッフが本プロジェクトを高く評価し、バギーの扱い方、姿勢保持のポイントなどを積極的に学んでいた。

今回は日本製の機器に加えタイの既製機器の改造も行い、それで対応できる子どももいることをタイ側にも示せた。

さいごのワークショップでは、施設の介護スタッフなどからも機器のみならず日本の状況などについて活発な質問があった。

今回の事業を通じて、「バーン・フアンファーの寝かせきりの子どもを全員座らせる」という、たいへん明確な目標を設定することができた。


今後の課題:
スタッフの反応の中には「日本は(子どもが様々な姿勢保持装置を使えて)いいね」など、「お金があるからこういうことができるのだろう」「やはり自分たちとは状況が違う」といった感じのものも見られ、これは事業者の目指す方向とは逆である。やはりタイの技術で、タイ人自身の手で製作・供給できることは、強調してし過ぎることない。そのためには、①タイで手に入る素材や技術、既製品を極力活用すること、②いっしょに製作する作業を通じて技術を自分のものとして頂くこと、③タイでも供給可能なコストで作れることをプロジェクトを通して示していくこと、加えて、⑤現場スタッフや当事者・家族の声が制度なり状況を変えるいちばんの力であることを、日本の経験から訴えて行くことが必要であろう。今あるものでここまでできる、ということを示しながら、あきらめに逃げさせない工夫が必要である。

今回は4名の子どもが座れるようになったが、施設全体で200名超の子どもが寝かせきりで、全国の町や村で、おそらくほとんどは寝たきりで生活している在宅の重度障がい児なども考えれば、これは大海の一滴であろう。一人でも多くの子どもに事業者の手で座って立つ生活を実現することと並行して、一人でも多くのタイ人製作者を育成すること、姿勢保持装置の存在や意義を一部の専門家に限らず知って頂く作業を継続する必要がある。4名が数十名に増えれば施設スタッフの意識も変わり、それは同様の他の施設、管轄官庁、政策にもインパクトを与えると確信している。

本事業は、この施設の200名の寝かせきりの子どもがみんな座って生活できることを目標に継続したいと考えているが、そのためにはPTなどの専門家も含むさらに大きなチームを組めることが望ましい。明確な目標があり、日本から派遣できる専門家のリストも充実している現在、財源確保が最大の課題である。

この施設にはバンコク日本人学校の生徒さんも年二回、ボランティア活動で訪れている。寝かせきりの子どもが座れ、さらにそうした子どもたちと同じ目の位置で遊べるところまでを示せれば、本事業はさらに意義のあるものとなるだろう。

さいごに、今回も事業者の訪問を快く受け入れ、暖かいご協力を頂いたバーン・フアンファーをはじめタイの皆様に心より御礼申し上げます。

日本国憲法改正案(2013.5.9、立憲君主制)

日本皇国憲法草案(2013.5.9、立憲君主制
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弘布文

朕は、主権者である日本の民に代わり、かれらがその総意にもとづき、日本国憲法第96条に定める国民投票により承認した日本国憲法の改正を、ここに弘布する。
(御名御璽、年月日)

日本皇国憲法


前文

われら列島の民は、
自らの主権を行使し、
因習と専制を打ち倒し、
歴史と風土と良俗の上に、
自治の連合として結び合い、
国のかたちを憲法にあらわす。


原則

一【主権・法の支配】
1 皇国の主権は、民びとのものである。皇国のすべての公権力は、民びとから発する。
2 皇国、および皇国のすべての法は、民びとの約束にもとづく、民びとのための福利である。
3 この憲法は、立法・執行・司法その他すべての公権力、および皇国のすべての民を拘束する。法にしたがわないいっさいの公権力、および憲法に反するいっさいの法律は無効とする。

二【尊厳と権利】
1 あらゆる個人は、それぞれがひとつの宇宙であり、おたがいの尊厳をおかしてはならない。
2 皇国と民びとは、すべての個人の尊厳・人格・権利とその発展を、尊重し保証する責任を負う。
3 世界人権宣言および国連が議決した国際人権条約はすべて、この憲法の前提であり、解釈する基準である。

三【平等】
1 皇国のすべての民びとは、憲法に定める例外をのぞき、尊厳と権利において平等であり、お互いを慈しみ公正に遇する責任を負う。
2 民びとは、人種・信条・性別・国籍・門地その他、どんな差別もゆるさない。ただし、現存する差別の解消を目的として、法に定める場合のみを例外とする。
3 特権がともなう恩賞は禁止する。

四【自由】
1 法律および法律の定める手続きにしたがう場合をのぞき、だれも民びとの自由をうばってはならない。
2 だれも、民びとに恐怖、貧苦、隷属を強制してはならない。また、犯罪に対して処罰以外の苦役を強制してはならない。

五【平和と友好】
1 平和と友好は幸福な社会の基礎である。皇国と民びとは、国内および世界において、その実現に全力を尽くす責任を負う。
2 皇国は、国際紛争の解決を、戦争および武力の行使、あるいは武力による脅しにうったえることは、犯罪とし禁止する。また皇国は、国際紛争の、国際法の支配にもとづく解決を推進し、この目的のために設立される国際機関の活動を、促進し援助する。
3 皇国は、中立と独立を外交における基本方針とする。

<非武装憲法の場合の追加条項:
4 皇国は、警察力にのみ、武器の保持をみとめる。ただしそれは、国内において人権をまもるため、あるいは世界において国際法の支配を推進するためにのみ、使用することができる。>

六【自治・市町村】
1 民主主義の根本をなす自治は、それぞれの地域に住む民びと固有の権利であり、放棄してはならない義務である。
2 市町村の自治体に、その領域内で、法律に定める立法、執行および徴税権をみとめる。

七【道・州】
1 市町村の集合体として、つぎの道・州を定める:アイヌモシリ州、奥州、関八州東海道信越州、北陸道畿内州、中国道、四国道、九州、琉球
2 道・州の自治体に、その領域内で市町村の範囲をこえる、法律に定める立法、執行および徴税権、また市町村間の利害を調整する権限をみとめる。

八【皇国】
1 日本皇国は、代表制、および国民投票・国民発案については直接制にもとづく、道・州の連合による民主主義国である。
2 皇国の領土は、北海道、本州、四国、九州の4島と琉球弧、およびそれらの周辺諸島にかぎる。
3 皇国は、地方の自立と自治の確立、どうじに、またその前提として、国土における人口の適正な配分につとめる。
4 国には、自治体間の利害を調整する権限をみとめる。また国法は、他の自治体の法に優越する。
立憲君主制の性格が強いオプション:
5 憲法にもとづいて皇位を有する天皇は、皇国の執行権の長であり、国際法の上で皇国を代表する。ただし、その権能は、かならず内閣を通して行使しなければならない。)
(象徴的機能が強いオプション:
5 憲法にもとづいて皇位を有する天皇は、憲法に定める国事行為のみを行ない、国政に関する権能を有しない。国事行為はかならず内閣を通して行使しなければならず、それは民びと全体の利益を目的とするものに限られる。)

九【核からの自由】
1 皇国は、その領域内に核兵器をいっさい置かない。また軍事および核反応からのエネルギーの商業的利用を目的とする、核開発および核施設・装置の設置・製造をみとめない。
2 1項に該当する既存の核兵器・施設・装置は速やかに廃棄し、既存の放射性物質および核廃棄物は、なるべく安全な方法で、健康への危険が消滅するのに十分な期間保管すること。その保管方法に関する詳細は法律に定め、そのさい作業者および影響のおよぶ民びとの人権、とくに健康と安全とを最大限に尊重すること。

十【国籍】
1 だれを皇国の国民とするかは、法律に定める。
2 皇国は、法律に定める例外を除き、国民に、出入国、国籍離脱の自由をみとめる。
3 皇国の民びとのうち、かつて大日本帝国の国籍を有したもの、およびその子孫には、法律に基準を定め、皇国籍を得る権利をみとめる。

十一【国際法・外国人】
1 皇国の憲法ほかすべての法は、皇国が批准した条約、国際連合が議決した条約およびその決議にしたがう。例外的に、国会がそれらに反することを議決するには、国会両院で総議員の3分の2以上の賛成を要する。ただし、国際連合に属さない軍事同盟は、いかなる場合も結んではならない。
2 皇国は、国際法および国際条約にしたがい、外国人の権利を保障する。
3 外国人の送還は、皇国がしたがうべき条約や国際法にそっている場合にのみ、みとめる。
4 この憲法で保障される自由が、自国において妨げられる外国人には、法律にしたがい、皇国に避難する権利をみとめる。

民兵制オブション:
十二【平和維持隊】
1 皇国は、憲法が保障する民びとの権利を守り、安全を保障し、国際法の支配を推進するために、皇国平和維持隊を置く。
2 平和維持隊の活動内容は、国内および国際社会における人権擁護、環境や国土の保全、平和維持、社会正義と民主主義の推進、持続可能な開発、学術文化の振興とする。
3 皇国のすべての成人には、平和維持隊に参加する権利をみとめ、義務を課す。皇国は、疾病・障がいや宗教・信条にもとづき本人が希望する代替任務を保障し、それを選択したために、社会的不利益を受けることをゆるさない。
4 平和維持隊の最高指揮権を、天皇にみとめる。ただし、その指揮の発動と終了は、国会総会の承認にもとづく。緊急の事態により、やむをえず国会総会の承認を得られない場合も、発動後、可能なかぎりすみやかに承認を得ること。
5 平和維持隊の活動に関する責任は首相が負う。天皇は、平和維持隊の指揮を首相の助言と承認のもとに行なうこと。
6 平和維持隊および代替任務の組織、運営、活動は民主的で、憲法の精神にもとづき、1項の目的に反しないかぎり公開であること。それ以下の詳細は法律に定めること。
7 最長5年ごとの国民投票により、平和維持隊を継続するかどうか決めること。>

<志願兵制オプション:
十二【皇国軍】
1 皇国は、憲法が保障する民びとの権利をまもり、安全を保障し、国際法の支配を推進するために、皇国軍を置く。
2 皇国軍の活動内容は、国内および国際社会における人権擁護、環境や国土の保全、平和維持、社会正義と民主主義の推進とする。
3 皇国軍の最高指揮権を、天皇にみとめる。ただし、その指揮の発動と終了は、国会総会の承認にもとづく。緊急の事態により、やむをえず国会総会の承認を得られない場合も、発動後、可能なかぎりすみやかに承認を得ること。
4 皇国軍の活動に関する責任は首相が負う。天皇は、平和隊の指揮を首相の助言と承認のもとに行なうこと。
5 皇国軍の組織、財政、運営、活動は民主的で、憲法の精神に基づき、1項の目的に反しないかぎり公開であること。それ以下の詳細は法律に定めること。
6 最長5年ごとの国民投票により、皇国軍を継続するかどうか決めること。>


第1章 民びとの権利、自由、および義務

第1条【権利・自由の保持】
1 皇国のすべての民は、憲法が保障する権利と自由をおたがいに尊重し、また、たゆまぬ努力によって保持する義務を負う。とくに、国や自治体がそれらをおかさないよう監視し、情報を開示させ、説明と責任をもとめ、また、それらが弱者にも平等に保障されるよう、最大限の関心を払う。
2 国や自治体は、この憲法が保障する自由と権利を、社会および法秩序ぜんたいで実現する義務を負う。

第2条【参政権
1 すべての国民に、法律にしたがい、代議員に立候補し、また代議員を選挙する権利を平等にみとめる。
2 法律に定める期間、皇国に滞在するすべての外国人に、前項の権利をみとめる。ただし、国政選挙に関しては、法律に例外を定めてよい。
3 代議員の選挙は、成人による普通かつ秘密選挙によること。また、だれも選挙人に対し、その選択を理由に、公的または私的に責任を問い、あるいは社会的不利益を与えてはならない。

第3条【弘務につく権利】
1 すべての国民に、法律にしたがい、弘務につく権利を平等にみとめる。
2 法律に定める以上の期間、皇国に住むすべての外国人には、前項の権利をみとめる。ただし、国の弘務については、法律に例外を定めてよい。

第4条【弘務員】
1 すべての国民に、弘務員を選び、あるいは辞めさせる権利を平等にみとめる。
2 法律に定める以上の期間、皇国に居住するすべての外国人には、前項の権利を平等にみとめる。ただし、国の弘務員については、法律に例外を定めてよい。
3 弘務員は社会全体に奉仕し、主権者である民びとへ責任を果たすこと。役人は職務において、憲法および法を忠実にまもり、誠実かつ公平であり、恣意的であったり差別待遇を行なってはならない。また法律に例外を定めないかぎり、その職務内容は公開すること。
4 すべての人は、役人の不法行為によって受けた損害に対し、法律にしたがい、賠償を受ける権利をもつ。
5 弘務員には、その不法行為や不作為に関し、団体のみならず個人としての責任も、免除しない。

第5条【請願権】
1 すべての人は、国および自治体へ、文書その他の平穏な手段により、請願し、あるいは異議や苦情を申し立てる権利をもつ。国および自治体の担当部門には、それを審査し、適切に対応し、文書により回答する義務を課す。また、これに対する違反および不作為は違法とする。
2 だれも、前項の請願や申し立てを行なった人に、それを理由に、差別待遇や社会的不利益を与えてはならない。

第6条【精神の自由】
1 皇国のすべての民は、個人・団体を問わず、思想、良心および宗教の自由と、それらを自由に表明する権利をもつ。この権利は、公開のものに関してのみ、かつ環境または心身の健康を保護する、あるいは交通を円滑に保つためにだけ、法律により制限してよい。
2 だれも、特定の思想、宗教、またそれらの活動への参加を強制してはならない。
3 皇国は、いかなる宗教団体にも特権を与えない。また、布教とみなされる行為や教育、および特定の宗教団体への援助は行なわない。

第7条【学問・芸術の自由、著作権文化財
1 すべての人は、学問・芸術・科学技術研究の自由をもつ。皇国はそれを保証・促進し、そこから得られる福利を民びとに還元する。
2 皇国は、学術的著作や芸術作品に対する、作者固有の権利を保障する。
3 皇国は、景観の美、および歴史・学問・芸術などの文化財を保護する。

第8条【表現・情報の自由、情報アクセス権】
1 皇国のすべての民は、意見、思想や情報をさがし、取得し、表現する自由をもつ。だれも、それを検閲したり、事前の届け出や許可を強いてはならない。
2 マスメディアは、その公正かつ多様な意見を交流させる使命のためにのみ、法律で規制してよい。ただし、内容の検閲や編集への干渉は禁止する。
3 18歳未満の子どもによる、または子どもを対象とする表現や情報は、その権利または健全な成長を保障するためにのみ、法律で規制してよい。
4 1項が保障する自由は、商業広告を対象としない。
5 弘文書その他、国や自治体の情報に関し、担当する機関はかならず、それを自由かつ容易に検索・閲覧できる状態で保管し、かつ一般に公開すること。

第9条【通信の自由】
 だれも、通信の秘密をおかしてはならない。その例外は、法律に定める場合に関して、裁判所が、実行する者と対象を指定し、またその者が、法律に定める手続きにしたがう場合のみとする。

第10条【プライバシー・個人情報】
1 皇国のすべての民は、私生活や家族生活の秘密を、尊重される権利をもつ。
2 皇国のすべての民は、個人情報の濫用から保護される権利をみもつ。個人情報を記録し公開する場合、および記録の事実を記録された人に知らせ、また訂正を受ける義務に関する規則は、法律に定める。
3 前2項の権利と、表現・情報の自由との、相互に対する限界は、法律に定める。

第11条【結社の自由】
 皇国のすべての民は、団体をつくり活動する自由をもつ。ただし、暴力行為をはじめ、憲法に定める権利または自由の侵害を、活動の目的ないし内容とする団体についてのみ、法律により制限してよい。

第12条【政党結成の自由】
1 皇国のすべての民は、政党を結成する自由をもつ。政党には、民びとの政治的な意志を、表現・形成することに協力し、民びとの政治参加を実現し促進する責任を課す。
2 皇国は、民びとの多様な意志を反映するため、複数政党制を保障する。
3 政党の結成・組織・活動は、法律にしたがい、かつ民主的であり、とくに言論の自由を、政党の内外において保障すること。
4 政党の財政は、公開すること。

第13条【男女平等】
1 皇国のすべての男女は、労働、収入、教育、婚姻、家族生活、財産、相続、その他社会のすべての局面において、完全に平等な権利をもち、またお互いの権利を尊重し、擁護する責任を負う。
2 国や自治体は、すべての男女を法の下で平等に取り扱うこと。ただし、現実に起きている性差別を取りのぞくまでの間、法律に定める措置を除く。

第14条【子どもの権利】
1 子どもは、皇国そして世界の、未来そのものである。
2 皇国は、すべての子どもに、その人格を保護され、また自由な発展を支援される権利を保障する。
3 皇国は、すべての子どもに、憲法が保障する権利および自由について、その判断能力に応じた学習および行使を保障する。
4 皇国は、すべての子どもに、必要ならば適切な協力者を通して、その意見を表明し、また聴かれ、考慮される権利を保障する。国や自治体で専門的にその業務に当たる、子どもの権利弁務官等の規定は、法律に定めること。

第15条【お年寄りの権利】
1 お年寄りは、皇国そして世界の、歴史そのものであり、民びとに共通の未来である。
2 役所は、すべてのお年寄りに、適切にかつ定期的に更新される年金により、憲法が保障する権利を享受するのにじゅうぶんな生計を保障すること。また、その状況やニーズに配慮し、社会事業などの施策を通じて、その生活の質の向上に努めること。

第16条【障がい者の権利】
1 皇国は、障害者、すなわち機能障害と外的障壁との相乗により、社会への参加および活動を妨げられるすべての民びとに、憲法に定める権利を平等に保障し、その享受に必要な援助を受ける権利をみとめる。援助を受けるための基準は法律に定めること。
2 国や自治体は、障害者に対し、前項の権利を保障するための条件および環境を整備すること。

第17条【少数者の権利】
1 皇国の民族・言語・文化的少数者が、少数であることそれ自体によって、差別や社会的な不利益を受けてはならない。
2 皇国は、それらの少数者に、独自の言語・文化・社会生活の様式を維持・発展させる権利を保障する。そこには教育や普及・振興活動への権利を含める。

第18条【家族・婚姻への権利】
1 皇国のすべての民は、婚姻を結び、あるいは家族を構成し生活する権利をもつ。
2 皇国は、婚姻において、両者に平等な法的権利を保障する。また婚姻の最低年齢は、法律に定めること。
3 家族における法的権利は、お互いの尊厳と人格の尊重、および平等の原則に基づくこと。どうじに家族内の弱者に対し、役所は、状況に応じた適切な援助を講じること。

第19条【生存権
1 皇国のすべての民は、自由と品位をもって生活し、かつ社会に参加し活動する権利をもつ。国や自治体は、これを保障するため、富や資源が適正に配分されるよう努めること。
2 前項の権利を、自分だけでは実現できない民びとには、社会保障を受ける権利をみとめる。その条件は、法律に定めること。

第20条【環境権】
1 皇国のすべての民は、健康と人格の涵養にふさわしい環境のもとで生活する権利をもち、それを保全し向上させる共同の責任を負う。
2 すべての住民は、美しく快適なむら・まちに生活する、またそれを創造し維持する、固有の権利をもつ。
3 役所および事業者は、環境を保全し向上させる義務を果たすこと。この義務は、違反者への罰則を伴う法律に定めること。
4 国は、天然資源の合理的かつ計画的な利用、および地球環境保全のための国際機関の活動を促進し、またそれらの情報を民びとに公開し普及させること。

第21条【居住する権利、移動の自由、住居】
1 皇国のすべての民は、居住する権利、および移転の自由をもつ。
2 役所は、民びとにじゅうぶんな量と質の住居を確保する義務を果たすこと。

第22条【健康・余暇】
1 皇国のすべての民は、健康な生活への権利をもつ。
2 役所は、民びとの健康増進をはかり、公衆衛生を向上させ、利用しやすさと質において、平等かつじゅうぶんな保健医療サービスを整備すること。
3 役所は、余暇活動がさかんになる条件を整備し、その発展をはかること。

第23条【教育】
1 教育は、皇国の永遠の課題であり、未来への最大の遺産である。
2 皇国は、教育の自由を保障する。また教育の目的は、国連人権宣言、国際人権規約子どもの権利条約その他の、国際人権法にしたがう。
3 皇国のすべての民は、弘立学校で最低9年間の初等教育を、無償で受ける権利をもつ。また役所は、だれもが通学できる範囲に学校をおき、じゅうぶんな数と質の教師をもって、この権利を平等に保障すること。
4 初等教育は、生徒およびその保護者、教師、学校および市町村の、自治により運営すること。各市町村は、それらを調整し、必要な調査、研究、提言を行なう機関として、住民が選挙した委員からなる、教育委員会を設けること。
5 3の権利が満たされている民びとは、私立学校や家庭で初等教育を受けてもよい。ただし、それらの教育は、法律にしたがい、また各市町村の教育委員会が定める基準を満たしていること。
6 初等教育以外の教育について、国や自治体は民びとのニーズにしたがい、最大限の機会を平等に保障すること。
7 教育および学習活動は、隷属や苦役であってはならず、学習者の人格の自由な発展に資するところのない、憲法に定める人権の制限をともなってはならない。

第24条【職業を選ぶ自由】
1 皇国のすべての民は、職業を選ぶ自由をもつ。その例外は法律に定めること。
2 役所は、じゅうぶんな種類と量の雇用が確保されるよう努め、それを民びとに、公平に配分すること。

第25条【労働権・休息権】
1 皇国のすべての民は、能力と選択に応じて働き、必要に応じて休息する権利をもつ。またこれは、放棄してはならない義務である。
2 すべての労働者は、労働の量と質に見合い、自己と家族の生存を支えるに足る報酬を受ける権利をもつ。その基準は法律に定めること。
3 労働日および労働時間の最高限度、休息時間および年次有給休暇の最低限度は、違反する事業者および労働者に対する罰則を伴う、法律に定めること。
4 役所は、労働時間と休息時間が、民びとに、適正かつじゅうぶんに配分されるよう施策すること。

第26条【女子労働、子どもの労働】
1 皇国は、すべての女子労働者に、その採用・労働条件・報酬その他について、男子労働者と同等の権利を保障する。
2 労働条件は、とくに労働者とその乳幼児に対して、育児手当、有給の育児休暇、保育サービス、その他、幸福な家庭生活を送るのに、じゅうぶんな保護を保障する。
3 子どもが働いてよい最低年齢、およびその例外規定を、法律に定めること。ただし、子どもを隷属させ酷使したり、成人労働者よりも不利な条件に置くことがあってはならない。

第27条【無業者・失業者】
 役所は、働く意志があるにもかかわらず失業し、あるいは仕事がなく、あるいはその技能がない民びとに、その生活、および弘的機関による教育と職業訓練の機会を保障すること。

第28条【労働者の権利】
1 皇国は、労働者の団結する権利、および団体交渉その他の団体行動への権利を保障する。
2 皇国は、労働者によるストライキ、および事業者によるロックアウトの権利を保障する。それらが許されない人の範囲は、法律に定めること。
3 皇国は、労働者と事業者の共同決定への権利を保障する。その範囲や方法は、法律に定めること。

第29条【財産権
1 皇国のすべての民は、私有財産への生来の権利をもつ。法人の財産権は、その社会や民びとの権利・自由に対する影響の大きさを考慮して、法律に定めること。
2 財産権の行使には責任がともない、また、その影響がおよぶ社会の福利に反してはならない。そうした責任や制限の内容は、法律に定めること。
3 弘権力による、私有財産の収用および財産権の制限は、法律にしたがい、民びとと社会の福利に役立つ目的、および社会と当事者の利益に照らし、正当な補償が確証できる場合にかぎること。ただし、災害など緊急時の収用については、法律に例外を定めてよい。

第30条【納税の義務
1 皇国のすべての民は、国や自治体の正当な活動の財源および適正なサービスへの対価であり、公平かつ累進の原則にもとづく租税に関して、法律にしたがい、納める義務を負う。
2 役所は、税収を効率よく運用し、法律に例外を定めないかぎり、その使途内容を明示すること。

第31条【身体への権利】
1 法律および法律に定める手続きにしたがう場合をのぞき、だれの身体およびその自由もおかしてはならない。また法律は、身体の尊厳をおかす内容を定めてはならない。
2 明確な説明に対して任意に表明された同意なしに、だれも医学的処置、および医学はじめ科学的実験の対象としてはならない。緊急時の例外については、法律に定める。
3 法律および法律に定める手続きにしたがう場合をのぞき、だれにも特定の医学的あるいは保健的処置を強制してはならない。

32条【奴隷的拘束・苦役の禁止】
 だれも、奴隷的拘束を行なってはならない。また、犯罪による処罰の場合をのぞき、意に反する苦役を強制してはならない。

第33条【裁判を受ける権利】
1 裁判所において裁判を受ける権利を、だれからも奪ってはならない。
2 国や自治体は、すべての人に、訴訟や請求、裁判に関して、弁護その他の必要な援助を受ける権利を保障すること。
3 経済的な理由で前項の援助を受けられない人に、法律にしたがい、役所から必要な援助を受ける権利をみとめる。

第34条【逮捕の要件】
 現行犯として逮捕する場合をのぞき、権限をもつ裁判官が発行し、かつ逮捕理由となる犯罪を明示する令状によらなければ、だれも逮捕してはならない。

第35条【住居の不可侵】
1 だれも、第34条に定める場合をのぞき、正当な理由にもとづいて発行され、かつ捜索する場所および押収する物を明示する令状なしに、その住居、書類および所持品について、侵入、捜索および押収を行なってはならない。
2 前項の令状は、権限をもつ裁判官が、個別に発行すること。

第36条【抑留・拘禁の要件、外部通行権、無罪推定】
1 だれも、事前にその理由を理解可能な方法で告げ、かつ、弁護人を依頼する権利および機会を与えないで、抑留または拘禁してはならない。
2 だれも、外部との連絡がいっさい取れない状態で、抑留または拘禁を続けてはならない。
3 だれも、裁判で有罪とされるまでは無罪とみなすこと。ゆえに、その抑留または拘禁じたいが意味を失わないような自由は、奪ってはならない。

第37条【不法拘禁に対する保障】
1 だれも、正当な理由なしに拘禁してはならない。
2 要求があれば、拘禁の理由を、ただちに本人およびその弁護人の出席する公開の法廷で示さなければならない。また、裁判官がその拘禁を不当であると判断した場合は、ただちに釈放しなければならない。

第38条【罪刑法定主義、残虐刑・拷問の禁止】
1 法律および法律の定める手続きに従わない刑罰は禁止する。
2 非人道的あるいは残虐で、個人の尊厳をそこなう刑罰は禁止する。
3 弘務員による拷問は、絶対にこれを禁ずる。

第39条【生命への権利、死刑禁止】
1 すべての人は、生命への権利をもつ。
2 死刑は禁止する。

第40条【刑事被告人の権利】
1 すべての刑事事件において、被告人には、裁判所の公平かつ迅速な公開裁判を受ける権利を保障すること。
2 刑事被告人には、すべての証人に対して審問する機会をじゅうぶんに与え、また、公費で自己のために強制的手続により、証人を求める権利を保障すること。
3 刑事被告人は、いかなる場合でも、資格を有する弁護人を依頼してよい。被告人が自弁で弁護人を依頼できないときは、国から援助を受ける権利を保障すること。

第41条【自己に不利益な供述、自白の証拠能力】
1 だれも、自己に不利益な供述を強要してはならない。
2 だれも、強制、拷問もしくは脅迫による自白、または不当に長く抑留または拘禁された人の自白を、証拠としてはならない。
3 だれも、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である人に、有罪を宣告し、または刑罰を科してはならない。

第42条【遡及処罰の禁止、一事不再理、例外規定】
1 だれも、実行の時点では適法であったか、無罪とされた行為について、刑事上の責任を問うてはならない。
2 だれも、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問うてはならない。
3 1項は、国際条約の定める人道に対する罪、および弘務員やその組織による犯罪を、対象としない。また、これらの犯罪には時効をみとめない。

第43条【刑事補償】
 皇国は、抑留または拘禁された後、裁判で無罪となった人に、法律にしたがい、国から補償を受ける権利を保障する。


第2章 国会

第44条【国会の地位】
 主権者である皇国のすべての民は、国会を、そのもっとも重要な代表者と定める。

第45条【国会の権力および義務】
1 国会は、法律・租税・予算を議決する、国の唯一の立法機関とする。また国会に、その他法律に定める権力を与える。
2 国会には、憲法の規定を実施するために必要かつ適切な、いっさいの法律を定める義務、および役所を監視する義務を課す。

第46条【立法権の留保】
 憲法に定める場合について、国民投票による立法権を、国民に留保する。

第47条【二院制
1 国会は、衆議院および参議院の両議院で構成する。
2 両議院の議員の定数は、法律に定めること。

第48条【議員および選挙人の資格】
 両議院の議員およびその選挙人の資格は、法律に定めること。ただし、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産または収入による差別を禁じる。

第49条【衆議院議員の選挙および任期】
1 衆議院は、国民を代表する、選挙された議員で組織する。
2 衆議院議員の選挙は比例代表制により、議席は各選挙区に、その人口に比例して配分すること。
3 衆議院議員の任期は、4年とする。ただし衆議院が解散した場合は、任期満了前に終了すること。

第50条【参議院議員の選挙および任期】
1 参議院は、各道・州を代表する、選挙された議員で組織する。
2 参議院議員は各道・州議会が比例代表制選挙により選出し、議席はすべての道・州に公平に配分すること。ただし、最多の議席をもつ道・州と最少の議席をもつ道・州の間に、議席数で3倍以上の格差を禁じる。
3 参議院議員の任期は、6年とし、3年ごとにその半数を改選すること。

第51条【選挙に関する事項】
 選挙区、投票の方法その他、両議院議員の選挙に関する事項は、法律に定めること。

第52条【国会総会】
1 国会総会は、憲法に定める場合について招集する、両議院の議員全員からなる合同会議である。
2 国会総会を開いている期間、両院は一体とみなす。
3 国会総会の議長には、衆議院議長を任命すること。

第53条【国会議員の兼職禁止】
1 だれも、同時に両議院の議員であってはならない。
2 国会議員が国務相、監査委員、裁判官、護民官その他国家機関および自治体の弘務員、および検事、弁護士を兼職してはならない。

第54条【議員の報酬】
 両議院の議員には、法律にしたがい、税収から、その活動の独立を保証するにじゅうぶんな額の報酬を与える。その詳細は法律に定める。

第55条【議員の不逮捕特権
 両議院の議員を、法律に定める場合をのぞき、国会の会議中、または会議への移動中に逮捕してはならない。また会議前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会議中は釈放しなければならない。

第56条【議員の発言の無責任・表決の独立】
1 両議院の議員に、議院で行なった演説、討論または表決について、院外で責任を問うことを禁ずる。
2 両議院の議員は、表決のさい、自己の良心以外、なにものにも拘束されてはならない。

第57条【議員の宣誓義務】
 すべての国会議員は、就任のさい、所属する議院の公開の会議で、法律に定める基準にしたがい、主権者に対して、身の潔白を証し、憲法への忠誠と、職務の誠実な遂行を宣誓すること。

第58条【常会】
 国会の常会は最低、毎年1回の召集を定めること。

第59条【臨時会】
1 内閣は、国会の臨時会の召集を決定してよい。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定すること。
2 国民発案があれば、その議決のため、ただちに臨時会を招集すること。

第60条【衆議院の解散、特別会、参議院の緊急集会】
1 衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行ない、その選挙の日から30日以内に、国会を召集すること。
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会すること。ただし、内閣は、皇国の緊急の必要をみとめるときは、参議院の緊急集会を求めてよい。
3 前項の緊急集会が採る措置は、臨時のものであり、次の国会開会の後10日以内に、衆議院の同意を得ないかぎり、効力を失う。

第61条【議員の資格争訟】
 両議院に、それぞれの議員の資格を判定・信任し、またそれに関する争訟を裁判する権限をみとめる。ただし、議員の資格を奪うには、出席議員の3分の2以上の多数により議決すること。

第62条【定足数・多数決】
1 両議院はそれぞれ、その総議員の3分の1以上の出席がないかぎり、議事を開き議決してはならない。
2 両議院の議事は、この憲法に定める場合をのぞき、出席議員の過半数で議決し、賛成・反対同数のときは、議長が決定すること。

第63条【会議の公開、秘密会】
1 両議院の会議は、公開すること。ただし、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会としてよい。
2 両議院は、それぞれその会議の記録は、自由かつ容易に検索・閲覧できる状態で保管し、かつ一般に公開すること。
3 出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、議事録に記載すること。

第64条【役員の選任、議院規則、懲罰】
1 両議院はそれぞれ、議長その他の役員を選任すること。
2 両議院はそれぞれ、会議その他の手続および内部の規律に関する規則を定め、また、院内の秩序をみだした議員を懲罰してよい。ただし、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数により議決すること。

第65条【議案提出権】
1 国会議員に、単独、または複数で、法律案を国会に提出する権利をみとめる。
2 首相に、内閣を代表して議案を国会に提出する権利をみとめる。
3 総人口の50分の1以上の国民に、議案を国会に提出する権利をみとめる。その認証は、憲法裁判所が行なうこと。

第66条【法律案の議決、衆議院の優越】
1 法律案は、この憲法に定める場合をのぞき、両議院で可決して、法律とすること。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なる議決をした法律案は、衆議院でふたたび可決したとき、法律とすること。
3 2項の場合、衆議院は国会総会の召集を提案してよい。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、60日以内に議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすこと。

第67条【衆議院の予算先議と優越】
1 内閣は、予算を、さきに衆議院に提出すること。
2 予算について、参議院衆議院と異なる議決をした場合、法律にしたがい国会総会を開いても意見が一致しないとき、または参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、30日以内に議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とすること。

第68条【条約の国会承認と衆議院の優越】
 条約の締結に必要な国会の承認については、第63条の規定を準用すること。

第69条【首相の指名、衆議院の優越、省庁】
1 首相は、国会議員の中から、国会の議決により指名すること。この指名は、他のすべての案件に先だって行なうこと。
2 衆議院参議院とが異なる指名の議決をした場合、法律にしたがい国会総会を開いても意見が一致しないとき、または衆議院が指名の議決をした後、10日以内に参議院が指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
3 国会は、国の各省庁の設立、および改廃を議決してよい。

第70条【議員への情報公開】
1 単独、または複数の国会議員が要求するあらゆる情報を、該当する国務相、または国や自治体の機関の長は、口頭または文書で提供すること。ただし、それが皇国の利益を著しく害うことを確証できる情報をのぞく。また、この義務に対する違反および不作為は、犯罪とみなす。
2 前項の規定によって提供しなかった情報は、その時点で期日を定め、のちに必ず公開すること。その期日は、提供を求められた日から10年を超えてはならない。

第71条【議員の国政調査権
1 議員に、単独、または複数で国政に関する調査を行ない、これに関して、証人の出頭および証言ならびに記録の提出を要求する権利をみとめる。国会両院は、これに応じない者の処罰を議決してよい。

第72条【国務相の議院出席】
1 首相その他の国務相に、議案について発言するため、議院に出席する権利をみとめる。また、答弁または説明のために出席を求められたときは、必ず出席し、その説明責任を全うする義務を課す。
2 前項の場合、国務相は、各1名の補佐者とともに出席してよい。


第3章 内閣

第73条【内閣の地位、執行権】
 主権者である皇国のすべての民は、内閣に、国会の信任に基づき、憲法および法律を忠実にまもり、民びとに奉仕する限りにおいて、執行権の行使をみとめる。

第74条【内閣の組織】
1 内閣は、法律にしたがい、首相および国務相で構成する。
2 首相を、内閣の首長と定める。
3 首相および国務相は、<(志願兵制オプション)文民であること。また、>私的にも公的にも兼職を禁ずる。
4 内閣に、行政権の行使について、国会に対する連帯責任を課す。
5 内閣に、政府各省に対する、人事権をみとめる。

第75条【国務相の任免、国務相の辞職勧告】
1 首相は、国会の助言のもとに、国務相を任命すること。
2 首相に、国務相を罷免する権限をみとめる。
3 国務相は、首相に辞職を勧告してよい。

第76条【閣僚の宣誓義務】
 首相および国務相は、就任のさい、国会両院の公開の会議で、法律に定める基準にしたがい、身の潔白を証し、憲法への忠誠と、職務の誠実な遂行を宣誓すること。

第77条【国会の内閣不信任】
1 内閣は、成立後10日以内に、国会両議院へ内閣信任の決議案を提出すること。
2 内閣信任の決議案を両議院が可決しない場合、首相はその時点から20日以内に新たな内閣を組閣し、成立後10日以内に、国会両議院へ信任の決議案を再提出すること。
3 2項の決議案を、両議院が2度にわたり可決しない場合、内閣は総辞職すること。
4 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、または信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職すること。

第78条【内閣の総辞職】
 首相が欠けたとき、または衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は総辞職すること。

第79条【総辞職後の内閣の職務】
 前2条の場合には、内閣は、あらたに首相が任命されるまで、引き続きその職務を行なうこと。

第80条【首相の職務】
 首相に、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務および外交関係について国会に報告し、ならびに国の機関を指揮監督する権限をみとめる。

第81条【内閣の事務】
 内閣は、一般執行事務のほかに、以下の事務を行なう。
一  法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二  外交関係を処理すること。
三  条約の締結。ただし事前に、つごうによっては事後に、国会の承認を経ること。ただし、締結に伴い、法律の改廃または制定を予定する、あるいは国会の議決すべき案件をともなう条約は、事前に国会の承認を経なければ無効とする。
四  法律の定める基準にしたがい、官吏に関する事務を掌理すること。
五  予算を作成して国会に提出すること。
六  法律に定めて内閣に委任している規定を実施するため、政令を制定すること。ただし、政令には、とくにその法律に委任を定めている場合をのぞき、罰則を設けてはならない。また、各政令には5年以下の時効を付すこと。
七  大赦、特赦、減刑刑の執行の免除および復権を決定すること。ただし、事前に国会の承認を経ること。

第82条【法律・政令の署名・連署
 法律および政令は、主任の国務相が署名し、首相が連署したものを有効とみなす。

第83条【国務相の起訴】
 国務相を、その在任中、首相の同意なしに、起訴してはならない。ただし、このために起訴する権利が消滅することはない。


第4章 司法

第84条【裁判所の地位、裁判官の独立】
1 皇国は、民びとの権利を守るために、司法権は裁判所にのみみとめる。
2 裁判は、皇国の名において行なうこと。
3 裁判官は、独立して職務に当たり、この憲法および法律にのみしたがうこと。
4 裁判官の兼職は禁止する。

第85条【司法権の独立】
1 皇国は、司法権の独立を保障する。司法に関する法律は、とくに執行権からの独立に留意して、制定すること。
2 特別裁判所の設置は禁止する。

第86条【最高裁判所の構成、最高裁判所裁判官の任命】
1 最高裁判所は、法律に定める員数の裁判官により構成する。
2 最高裁判所裁判官は、国会総会が票決し、得票数の順に指名した候補者の中から、首相が選任すること。ただし、候補者の数が定員の2倍以上であってはならない。
3 最高裁判所長は、前項の裁判官の中から、衆議院の議決にもとづき、首相が任命すること。

第87条【最高裁判所裁判官の国民審査】
1 最高裁判所裁判官は任命後、初めて行なわれる衆議院議員総選挙のさい、国民投票による審査に付し、その後十年を経過した後初めて行なわれる衆議院議員総選挙のさい、さらに審査に付し、その後も同様とすること。
2 総人口の50分の1以上の国民が発案した場合は、ただちに国民投票による審査を行なうこと。
3 前2項の場合において、投票者の過半数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官を罷免すること。
4 審査に関するその他の事項は、法律に定めること。

第88条【最高裁判所裁判官の報酬・定年】
1 最高裁判所裁判官には、すべて定期に相当額の報酬を与える。この報酬は、在任中、減額してはならない。
2 最高裁判所裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官すること。

第89条【裁判所の規則制定権、検察官の地位】
1 最高裁判所に、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限をみとめる。
2 最高裁判所は、下級裁判所に、その規則を定める権限を委任してよい。
3 検察官は、裁判所に所属し、裁判所の定める規則にしたがうこと。

第90条【下級裁判所の裁判官】
1 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所が指名した候補者の中から、内閣が任命すること。ただし、候補者の数が定員の2倍以上であってはならない。
2 下級裁判所の裁判官は、任期を10年とし、連任してよい。ただし、法律の定める年齢に達した時には退官すること。
3 下級裁判所の裁判官には、すべて定期に相当額の給与を与える。この報酬は、在任中、減額してはならない。

第91条【裁判官の身分保障
 裁判官を、裁判により心身の故障のために職務を行なえないと決定した場合、あるいは憲法に定める弾劾によった場合以外、罷免してはならない。役所には、裁判官の懲戒処分を行なう権限をみとめない。

第92条【裁判および裁判記録の公開】
1 裁判の対審および判決は、公開法廷で行なうこと。
2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公序良俗あるいは当事者の人権を著しく害するおそれがあると判断した場合は、対審は、公開しないでよい。ただし、政治犯罪、公務員の職務に関する犯罪、出版および表現に関する犯罪の対審は、必ず公開すること。
3 法律に定める場合をのぞき、裁判記録は公開し、そこでは判決の根拠を明示すること。

第93条【憲法裁判所の地位】
 皇国は、憲法裁判所を、以下の審判に関する終審裁判所と定める。
一 あらゆる条約、法律、条例、命令、規則または処分が、憲法に適合するかしないかを審判すること
二 法律あるいは条例が、批准された条約に適合するかしないかを審判すること
三 弘的機関の間の、権限に関する争訟を審判すること
四 弾劾を審判すること
五 国民発案および国民投票の適法性を審判し、結果を認証し公表すること
六 国会議員選挙の、実施における争訟を審判すること
七 憲法が保障する権利、自由および義務に関する、法律に定める訴願を審判すること

第94条【憲法裁判所裁判官】
1 憲法裁判所は、首相が任命する15人の裁判官で構成する。
2 前項の裁判官のうち、5人は国会総会が票決により、候補者から得票数の順に選出した者で、他の5人は最高裁判所が指名した者であること。
3 憲法裁判所長は、1項の裁判官の中から、衆議院の議決に基づき、首相が任命すること。
4 憲法裁判所裁判官の任期は、終身とする。
5 憲法裁判所裁判官には、職務の高い独立性と中立性を要求し、政党あるいは労働組合に加入し、または政治や政治性の高い活動に関与することを禁じる。

第95条【憲法裁判所の規則制定権】
 憲法裁判所に、審判に関する手続き、内部規律および司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限をみとめる。


第5章 財政、監査院および護民官

第96条【財政処理の権限】
 皇国の財政、税収や国費の支出、あるいは国による債務の負担は、すべて国会の議決にもとづくこと。

第97条【課税の要件】
 国や自治体は、法律に定めていない税を課してはならない。また、国会の議決を経たのち、税の目的や内容の変更は禁止する。

第98条【予算の作成と議決】
1 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出すること。予算は、国会の審議と議決をへて、確定とみなす。
2 内閣は、会計年度ごとに予算案を編成し、会計年度が始まる90日前までに国会に提出すること。国会は、会計年度が始まる30日前までに、予算案を議決すること
3 新しい会計年度が開始するまでに予算案が議決されないときは、内閣は、前年度予算に準じる暫定予算を、国会に提出し、議決を経ること。
4 予算ないし暫定予算が議決されるまで、税を課してはならない。

第99条【補正予算
 政府は、予算に変更を加える必要が生じたときは、補正予算案を編成して国会に提出し、議決による承認を受けること。

第100条【継続費・予備費
1 一会計年度を超えて引き続き支出が必要なばあいは、内閣は、その年限を定め、継続費として国会の議決を経ること。
2 予備費は、はじめに総額で、国会の議決を経ること。その上で、予備費の支出は、次期国会の承認を受けること。予備費の内容および上限は、法律に定めること。

第101条【弘共財産の支出利用の制限】
 税収その他の弘共の財産を、支出され、あるいは利用する事業および団体に対し、管轄する役所は、民びとへの説明責任を果たす目的および範囲で、法律にしたがい、その財政および活動を監査すること。

第102条【監査院】
1 皇国は、監査院を、役所の活動に対する、独立かつ最高の検査機関と定める。
2 監査院は、国会総会が票決により、候補者から得票数の順に選出する、法律に定める数の監査委員で構成すること。監査委員の兼職は禁止する。
3 監査院は、役所の行為に関して、合法性の事前審査、および予算・運営に対する事後の監査を行なうこと。また法律にしたがい、役所が補助する団体の、財政・運営に対する監査に参加すること。国会は、法律に定めて監査院の業務を追加してよい。
4 監査委員には、その業務に必要なすべての文書・データ・報告を得る権限をみとめる。
5 監査院は、3項の業務のほか、毎年度、国会および民びとに報告書を提出すること。そこで、違反または背任と監査院が判断した行為があれば、国会に直接報告すること。

第103条【決算】
 決算は、毎会計年度の終了後6ヶ月以内に、監査院の検査報告とともに、内閣が国会に提出すること。

第104条【護民官
1 護民官は、依頼に応じ、または独自に役所を調査し、また法律にしたがって役所に助言する権限をもつ、独立した弘務員である。護民官は、不法ないし背任行為を認めれば、それを裁判所に訴えること。
2 前項の目的のため、国会総会は、法律に定める数の護民官を票決により、候補者から得票数の順に選出すること。
3 護民官には、裁判所または役所の会議に出席する権利、および裁判所または役所の、議事録その他のあらゆる文書を閲覧する権限をみとめる。すべての裁判所、役所および役人は、護民官が要求する、あらゆる文書・データ・報告を提出すること。この義務を、護民官の監視的権限のもとにあるすべての者も果たすこと。
4 検察官は、要求があれば護民官に協力すること。
5 護民官の権限および仕事の手続きを、法律に定めること。また国会は、議決により護民官の業務を追加してよい。


第6章 地方自治

第105条【自治権の保障、自治の原則】
1 皇国は、すべての市町村および道・州に、独立かつ完全な自治権をみとめる。
2 各自治体は、その住民による自治を保障すること。とくに市町村の住民には、民主的かつ直接的な住民集会による意思形成と、住民投票による立法および意思決定の、実効力ある権利を必ず保障すること。

第106条【自治体】
1 自治体の廃止または新設は、必ず国会の議決によること。
2 自治体の境界を変更するための規則は、法律に定めること。

第107条【地方議会】
1 地方議会を、各自治体の住民の代表機関と定める。議会の構成や組織は法律に定める基準を守り、その会議は、法律に定める例外をのぞき、公開すること。
2 地方議会の議員は、それぞれの住民が、憲法および法律に定める基準にしたがい、直接選挙によって選ぶこと。議員および選挙人の資格および選挙の方法は、憲法第48条に準じ、法律に定めること。
3 議員の資格を失わせる場合の規定は、法律に定めること。
4 議員の任期は、法律に定めないかぎり、4年とする。

第108条【条例】
1 地方議会に、議決によって条例をつくる権利をみとめる。
2 条例は、法または国会の議決に反しないかぎり有効とする。
3 条例を議決する方法に関する基準は、法律に定めること。

第109条【地方の治政】
1 市町村は、市町村長を長とする市役所または町村役場が、また道・州は、道・州知事を長とする道・州政府が治めること。
2 市町村議会は、法律に定める基準にしたがい、市町村長および役人の選任方法を条例に定めること。
3 道・州知事の選出は、住民の直接選挙により、選挙人・被選挙人の資格、および選挙の方法は、法律に定めること。
4 前2項について、憲法第45条が禁じる差別を、定めてはならない。

第110条【市町村連合】
 業務の効率化・最適化のため、条例に定めて、複数の市町村で道・州とは別の連合体を形成してよい。

第111条【地方財政
1 地方財政は、各自治体の機能を遂行するために十分な資力を確保すること。
2 前項の目的のため、各自治体に独自に税を徴収し、国からの交付金を得る権利をみとめる。
3 自治体が徴収する税と国税、および自治体と国の財政における関係は、法律に定めて調整すること。

第112条【国と自治体の関係】
1 自治体の組織が満たすべき基準、およびその権限は、法律に定めること。
2 国会が、ひとつの自治体のみに適用する特別法は、法律にしたがい、その自治体住民の投票において、その過半数の同意を得ないかぎり無効とみなす。
3 そのほか、自治体間あるいは自治体と国の間の紛争を調停するための規則は、法律に定めること。


第7章 憲法改正

第113条【総則】
1 この憲法は、一部、または全部をいつでも改正してよい。
2 ただし、憲法改正の審議は、とくに慎重に行なうこと。

第114条【憲法改正の手続き】
1 憲法改正の法律案は、さきに衆議院に提出すること。
2 衆議院は、その案を複数の法律案に分割してよい。また必要ならば章・節・条文・項目・脚註の番号を変更し、それらの順序を入れ替えて形式の統一を保つこと。
3 衆議院は、前項の手続きを経た法律案を承認し、民びとぜんたいに広報したら、ただちに解散すること。
3 解散の後、新たに衆議院を招集した時点で、国会両議院は承認された法律案を、議決すること。議決には、両議院で総議員の3分の2以上の賛成を得ること。
4 議決を経た法律案を、国会は国民に発議し、その承認を受けること。承認は国民投票により、投票者の過半数の賛成を得ること。

第115条【公布、移行規定】
1 改正された憲法は、政府の広報として出版・公開した時点から有効とする。
2 憲法改正前からの法律で、この憲法に合致しなくなったものは、新たに合致するものが作られるまで有効とする。ただし、国会の議決により廃止された場合をのぞく。


第8章 天皇

第116条【天皇の地位】
 皇国のすべての民は、天皇を、皇国の統一の象徴、およびこの憲法の精神を具現する、憲法の象徴と定める。

第117条【天皇および皇族の権利】
 皇国は、天皇および皇族に、憲法に定める例外をのぞき、国民が有するすべての基本権を保障する。

第118条【皇籍
 だれを皇族と見なすかは、法律に定める。

第119条【皇位世襲
1 皇位世襲とし、明治天皇の直系の子孫に引き継ぐ権利をみとめる。
2 天皇が死去した場合は、その時点で存命し出生している直系の子孫が、年長順に世襲すること。直系の子孫がいない場合、その前代から順次さかのぼった明治天皇の子孫で存命しているものが、年長順に世襲すること。

第120条【天皇の退位】
1 天皇には退位する権利をみとめる。その場合も、皇位継承は第119条2項にしたがう。
2 退位後の天皇がもうけた子孫には、皇位継承権をみとめない。

第121条【天皇の結婚】
 天皇および皇族の結婚は、国会総会で議決し承認すること。国会総会の承認を経ないで結婚した天皇および皇族は、その地位を失う。 

第122条【皇位継承者の除外】
 天皇または摂政の発議にもとづき、国会総会は、ひとりまたはそれ以上の者を、議決により皇位継承から除外してよい。

第123条【皇位継承者の不在】
1 皇位を引き継ぐ者がいない場合は、天皇またはその摂政が提出する議案に基づき、国会総会の議決によって皇位継承者を任命すること。その議案を公開したのちに、国会はいちど解散し、あらたに招集した国会総会ではじめて議決することができる。承認には、出席議員の3分の2以上の賛成を得ること。
2 天皇が死去したり退位した後に皇位を引き継ぐ者がいない場合は、国会をいちど解散し、あらたに招集した国会総会で皇位継承者を任命しなければならない。承認には、出席議員の3分の2以上の賛成を得ること。
3 前2項によって任命された天皇は正統と見なし、皇位継承その他に関して、それ以前の皇位とまったく同様にあつかう。
4 前3項によっても天皇の職務を行なう者がいない場合、国会総会は、議決により摂政を任命すること。

第124条【天皇の宣誓義務】
 天皇は即位したらすみやかに、公開の国会総会において、憲法へ忠誠を果たし職務を忠実に果たすことを、宣誓すること。宣誓のそれ以下の内容については、法律に定めること。

第125条【摂政
 天皇が未成年の場合、成年に達するまで、摂政がその職務を代行すること。

第126条【天皇の職務不能
1 天皇が職務の継続に支障を来した場合、内閣はすみやかに、国会両院へその判断を問う議案を提出すること。また国会は、国会総会を開きそれを議決すること。またその決議には、天皇による公布を経ないで効力をみとめる。
2 天皇の職務停止が議決された場合、国会は摂政を任命すること。
3 天皇または摂政から議案が提出されれば、国会総会は天皇の、職務への復帰を議決すること。議決されれば、天皇はただちに職務を再開すること。

第127条【天皇の職務停止】
1 天皇が職務の停止を希望する場合、天皇または摂政は国会の両院へその判断を問う議案を提出することができ、国会総会でそれを議決しなければならない。
2 前項に対する摂政の任命、天皇の職務への復帰に関する規定は、第126条の2、3項に準ずること。

第128条【摂政の任命】
1 摂政の任命は、国会総会の議決によること。
2 皇位継承が予定される者で成年の者には、摂政となる権利を優先的にみとめる。
3 摂政は公開の国会総会において、憲法へ忠誠を果たし、皇国のすべての民びとに対して職務を忠実に果たすことを宣誓すること。宣誓のそれ以下の内容については、法律に定めること。
4 摂政の職務は、国会総会の議決により定め、それは摂政の継承や交代に関する規定を含むこと。
5 摂政に関するその他の規定は、この章の天皇に関する規定に準じること。

第129条【内閣の代行】
 天皇の職務を行なう者がまったくいない場合、内閣がそれを代行すること。

第130条【天皇の無答責、内閣の指示と同意、国務相の署名】
1 だれも、天皇を告訴することはできない。その責任は、国務相が負うこと。
2 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣が指示と同意を与え、また責任を負うこと。
3 天皇の名で弘布する、法律および国務に関するすべての文書には、天皇および1名以上の国務相の署名を必要とする。ただし、首相および国務相の任命は、天皇および首相の署名によること。

第131条【天皇の行為、政治活動の禁止】
 天皇には、この憲法の定める国事に関して儀礼的行為のみをみとめ、政党あるいは労働組合に加入し、または政治や政治性の高い活動に関与することを禁じる。

第132条【天皇の任命権】
1 天皇は、国会の議決にしたがい、首相を任命する。
2 天皇は、国会が議決した候補者の中から内閣が指名した、最高裁判所裁判官および憲法裁判所裁判官を任命する。

第133条【天皇の国事行為】
 天皇が行なう国事に関する行為は、以下のものに限られる。
一 国民投票により承認された、憲法改正を公布すること
二 国会が議決した法律を公布すること
三 国会が承認した条約を公布すること
四 国会を召集すること。
五 憲法の定める場合に、衆議院を解散すること。
六 政令を公布すること。
七 国務相および法律の定めるその他の官吏の、任免ならびに全権委任状および大使および公使の信任状を認証すること。
八 国民投票にしたがい、国務相、裁判官その他の公務員を任免すること。
九 国会が承認した、全権委任状および大使および公使の信任状を認証すること。
十 栄典を授与すること。
十一 批准書その他の外交文書を認証すること。
十二 外国の大使および公使を接受すること。

<(民兵制オプション)十三 国会総会の承認にもとづき、首相の助言と承認のもとに、平和隊の活動を指揮すること。>

<(志願兵制オプション)十三 国会総会の承認にもとづき、首相の助言と承認のもとに、皇国軍の活動を指揮すること。>

第134条【年俸および財産】
1 天皇および皇族には、法律にしたがい、税収から年俸を与える。また、それには税を課さないこと。
2 天皇および皇族は、所得および財産を自由に処理してよい。ただし、納税者たる民びとの福利は、つねに考慮すること。

第135条【移行規定】
1 宮内庁および皇室典範は廃止する。
2 皇室財産は、国会総会の議決にもとづき、天皇および皇族に分与する。

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第9章(2)

権能
 全インド・パンチャーヤットの権能は、地方・州パンチャーヤットによる最大限の自治という基本原則に合わせて、たいへん限られたものとなる。その権能は以下の通り;

(a) 外国の侵略に対し、国土を防衛する。
(b) 国防軍を運営し、非常時に国内の法と秩序をまもる。
(c) 州の経済開発計画を調整する。
(d) インド全体にとって重要な、「枢要」産業を管理する。
(e) インド全体の交通・通信部門を管理する。
(f) 通貨・税関・国際貿易を規制する。
(g) 科学技術研究分野でインド全体にとって重要な、少数の教育機関を運営し、教育水準の平準化に関して各州に助言する。
(h) 国家の外交政策をつくる。

 そのほかの権力は、中央政府でなく、連邦を形づくる各単位に属するべきである。

統治

 全インド・パンチャーヤットは最高立法府であり、与えられた権能にしたがって立法を行なう。全インド・パンチャーヤットの議長が国家元首を務める。
 連邦パンチャーヤットは、さまざまな省庁に長官あるいは行政官[コミッサール]を任命する。これら長官は、全インド・パンチャーヤットの構成員であってはならない。そうすることで、立法部と執行部の権能は分離される。
 中央執行部あるいは長官協議会[=内閣に相当]は、中央立法部あるいは中央パンチャーヤットに対して全面的に責任を負う。長官の任期は3年とするが、原則として全インド・パンチャーヤットが新しくなっても交代させられることはない。ただし、非効率や収賄のばあいは別である。罪を犯し、あるいは重大な失政が発覚した長官は、任期満了前でも直ちに罷免される。
 長官は国の最高の才能の集まりであるべきで、党派や地域の利害に関わってはならない。また、幅広い地方自治のためには、恒常的で硬直した政党などあってはならない。あらゆる努力が、すべての社会集団とくに少数者を公正に代表した中央立法部を形づくるために払われれば、社会集団比率の危険な原理*が、将来の自由なインドの憲法の一角を占めることはない。じっさい、インドが非暴力の完全な発展に至れば、少数者が疎外感や劣等感に苛まれることはありえない。