アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第5章

第二部(p.77) V 基本的な権利および義務 第一部では、スワラジ(自治独立)憲法の根本となるべき基本原則を明らかにするよう努めた。第二部では、その憲法をさまざまな面において性格づける、おもな特色について述べる。くわしく本物らしい憲法草案を、一か…

ミクロネシア連邦憲法前文・改々訳

ミクロネシア連邦憲法前文われらミクロネシアの民は、 ほんらいの主権者として、 ここにミクロネシア連邦憲法を制定する。この憲法のもと、 われらの共通の願いとして 平和と調和のうちに生き、 過去からの遺産を守り、 未来への約束を果たすことを宣言する…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(12)

国際主義対普遍主義 人びとは、国際主義についてもっともらしく語るいっぽうでガンディー翁の「村落主義」をあざ笑う。しかし翁が国際主義のはるか先を見通していたことを、いままで理解したものがあっただろうか?かれが求めるのは国際主義だけではない、普…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(11)

中世回帰主義? ガンディー主義に向けられるいちばんありふれた批判は、時計の針を逆転させてわれわれを中世へ引き戻そうとするのか、といったものだ。しかしそうしたガンディー思想への攻撃は、まったくの誤解に基づいている。 (p.68) ガンディー翁は、村落…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(10)

医者よ、おのれを治療せよ! 運命の悲劇的なまでの皮肉は、地域分散を処方したのが国連であり、されたのが打ち倒されたドイツだったことだ。ポツダム会議において「三大国」が決めたのは、「地方自治政府はドイツ全土において、民主主義的な基礎の上に再建さ…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(9)

国際協調 さまざまな組織が、世界平和と国際協調とを支えるために提案されてきた。国際連盟規約は国家間の係争の、調停や仲裁による解決をめざした。しかしその大伽藍は、ファシズムの暴威の前に粉々に崩れ落ちてしまった。サンフランシスコ会議では、世界平…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(8)

生きるよろこび 村の生活が立ち直るのは、庶民にとっては祭りや娯楽、余暇活動がよみがえることを意味する。マジュムダール博士は「古代インドの集団生活」で、インドの村における遊びをもっとも遠い昔から描き出している。ヴェーダ時代には、のちに「ゴシュ…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(7)

社会学的側面 地域分散した村落共同体主義は、社会学の立場からも推奨すべきものである。「野外での農的暮らし」が現代の過密都市に取って代われば、それは国民に健康や衛生の向上をもたらすだろう。あわただしくやかましい都会の暮らしは、ゆっくりとだが確…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(6)

地域分散化の哲学 はっきり理解されるべきことだが、ガンディー翁が地域分散化を提唱するのは、たんなる経済的・政治的な利点からではない。翁にとって地域分散化は、「簡素な生活と高邁な思想」という文化と精神の理想を具現し、支えるものであった。「ここ…

生活保護考

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111115-00000057-jij-soci永住外国人「生活保護の対象」=大分市の却下取り消し—福岡高裁大分市に生活保護申請を却下された永住資格を持つ中国籍の女性(79)が、「外国人にも受給権があり、保護が必要な状態だった」と…

三権考

三権=立法・執行・司法、は19世紀の概念であって、20世紀以降の三権は官僚(含軍隊と警察)・大企業(含銀行)・マスメディアだろう。そして現代の三権は分立せず協働している。そう考えれば、フクシマ後の日本や金融危機後の欧米そして中東での運動が何に…

政治回文

う、野田め、ダメ自民か以下!説明壊滅、世界観惨め、ダメだのう。(うのだめだめじみんかいかせつめいかいめつせかいかんみじめだめだのう)この度野田め、ダメ自民か以下!説明壊滅、世界観惨め、ダメだのび太の子。(このたびのだめだめじみんかいかせつ…

TPP考

TPP=Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement=太平洋横断トモダチ大作戦(のお約束)!とか訳した方が実態に即していると思う。参加国からしても原義からしても「環太平洋」はないだろう。

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(5)

地域分散化の経済学 むらの共産制がもつ広大な可能性はさておくとしても、分散化された農村連合組織は、経済において公平な分配への大きな導きとなる。おもにブルジョア階級が生産手段を管理する現今の資本主義社会は、世界に長続きする平和と真の豊かさをう…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(4)

インドの村落共和制 地方自治は、産業革命前のヨーロッパ各国では、多くの小さな村むらで行なわれていた。その協同生活のよい記録を、クロポトキン王子[ママ:訳者註]の「相互扶助論」にみることができる。中国と日本もまた、分散されたむら組織のもっとも…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(3)

ギリシャの都市国家 ヨーロッパでは、古代ギリシャの都市国家が直接制の自治を謳歌した。至高の政治権力は全市民のものであった。「市民たちは」、ブライス卿は書いている、「議会であるどうじに政府であり、執行・立法・司法がその中に納まっていた。」日々…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(2)

地域分散 では、なにが非暴力的な民主主義のための手段なのだろうか。それは地域分散だ。暴力は、必然的に中央集権に通じる。非暴力の神髄は、分散化にある。ガンディー翁がたえず提唱してきたのは、そうした分散化を経済力と政治権力に関して、多かれ少なか…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第4章(1)

(p.34) IV ガンディー主義の道 民主主義が危機を乗り切るためのさまざまな道すじを、現代の思想家たちは提案してきた。ラムゼイ・マウルは「民主主義は失敗したか?」のなかで、単記移譲式投票 1) による比例代表選挙を提唱している。この方式によれば、少数…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第3章

(p.26) III 岐路に立つ民主主義 第一次世界大戦を戦ったのは「世界を民主主義にとって安全な場所にする」ためであり、戦争を永遠に終わらせるためであった。しかしその戦後、世界は悲しいまでの幻滅を味わった。平和をうち立てる代わりに、ヴェルサイユ条約…

アガルワール:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第2章

(p.15) II基礎となる原理 わたしには、理想の政治組織において、その基礎をなす原理に関する綿密な学術論文を執筆しようなどという意図はみじんもない。しかしながら、二、三の原理で、その上にしか安定した政治構造が築かれ得ないようなものに関しては、分…

アガルワル:自由なインドのためのガンディー主義憲法 第1章

(p.9) I はじめに 連合国(United Nations)が「総力戦(total war)」に勝利したことは、もはや疑いようがない。彼らはドイツと日本を「無条件降伏」によって屈従させた。しかし、その同盟が果たして「完全な平和(total peace)」を達成したのかどうかは、…

アガルワル:自由なインドのためのガンディー主義憲法:扉〜序文

(扉)自由なインドのためのガンディー主義憲法ワルダ市・セクサリア商科大学学長 シュリマン・ナラヤン・アガルワル著序文 マハトマ・ガンディー(序文) セヴァグラム ワルダ経由(C.P.)序文 おそらく「ガンディー主義憲法」なる表現は、アガルワル学長の…

アガルワル:自由なインドのためのガンディー主義憲法 目次

(目次) 目次第一部章 ページ I. はじめに 9 II. 基礎となる原理 15 III. 岐路(交差点)に立つ民主主義 26 IV. ガンディー(主義)の道 34第二部V. 基本的な権利と義務 77 VI. 基礎的単位としてのむら 80 VII. タルカ(郡)とパンチャーヤット(町村自治体…

大衆民主主義考

大衆民主主義、あるいはマス・デモクラシー。政党政治など、現代の民主主義なるものは、ほとんどこれだといってよい。しかしこのことばは、一種の煙幕であると思う。世論の支持とか得票率とか議席数とか、数の力のみが問題になっている時点で、すでに個々の…

新訳:ガンディーの「七つの社会的罪」 (Seven Social Sins, M.K.Gandhi)

1.原則なき政治 Politics without Principles 2.仕事なき豊かさ Wealth without Work 3.良心なき楽しみ Pleasure without Conscience 4.責任なき知識 Knowledge without Character 5.道徳なき商業 Commerce without Morality 6.人道なき科学 Science without…

エントロピーと風評被害考

原発事故や核実験は、たしかに風評被害を生む。しかし、風評被害が怖いから、と情報を隠したりすると、それがいわば風評被害の風評被害を生む。さらに、隠したりしていません、安心してください等々とテレビで言い訳すると、それがまた風評被害の風評被害の…

電力さんはいつも大丈夫

静岡・浜岡原発:停止決定 中部電、赤字転落へ 燃料費増で http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110510ddm008040078000c.html浜岡原発の全面停止を受け入れた中部電力には多くの経営課題が待ち受ける。休止中の火力発電所を稼働させるなどして、電力の安…

暗殺テロリズム考

世間はオサマ・ビンラディンを「どうやって殺したか」とか「歓喜に沸き返る米国の人びと」(まったく恐ろしい国だ)で持ち切りだが、ここはテレビを離れて(そもそも持ってないが)よく考えてみたい。まず、これは政治的暗殺ではないのか。少なくとも戦争の…

失敗の本質考

避難区域見直し「同心円でない」=放射線量次第で20キロ圏外も−枝野官房長官 http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011041100392最悪の事態を見込んで、とくに初動の段階でできるかぎり充分な人・金・エネルギーを投入するのは、災害対策でも戦争でも定跡…

震災被災者にベーシック・インカムを

家族や財産を失い、ふるさとさえ放射能に奪われかねない被災地の人びと。その立ち直りへの経済的な足がかりとして、BI(ベーシック・インカム=基礎所得保障)に勝るものはない。BIとは簡単にいうと、社会生活を営むに足る一定額の所得を、受給資格を持つす…